
武田砂鉄+マライ・メントライン ゼレンスキー大統領が欲しがる「トマホーク」とは?
フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝のラジオ番組、『武田砂鉄ラジオマガジン』。10月20日は、月曜レギュラーでドイツ出身の翻訳家・エッセイストのマライ・メントライン氏と、長距離巡航ミサイル、トマホークについてトークを繰り広げた。
マライ「今日のお話は“武器供与”がテーマです。ちょっと朝から物騒なんですけど、すみませんね」
武田「いえいえ」
マライ「先週木曜日、トランプ大統領は2時間ほどロシアのプーチン大統領と電話で話したんですね。そもそも2人が最後に会ったのは8月のことで、しばらく間がありました。その電話は、トランプ曰く、近々プーチンとハンガリーで会う予定ですっていう話だったんですね。プーチンはウクライナ戦争をずっと続けてるんですけど、トランプはプーチンについて、「なぜ彼は戦争を続けるのか理解できない」とか、「ロシアはすでに破壊的な損害を受けている」とか、「プーチンは1週間でこの戦争に勝つべきだったのに、なぜかもう4年間続けている」と発言したんですね。なんか、「1週間で勝つべきだった」っていうのは、ちょっとヨーロッパ人としては、あれ?って思うんですけれども。まあ、トランプ大統領らしい発言かなって気がするんですよね」
武田「この間、トランプがプーチンと会った時は、絵面的には親しげというか仲良さそうにはしてましたけれども、まあ、その都度ちょっと変わってくるってとこ、ありますね」
マライ「実際にそこがポイントで、トランプ大統領が就任した最初はすごくプーチンと仲良くしようとしてたのが、途中からちょっと離れて、またくっついて。で、今はどうなんですかね、またちょっと離れてる最中なんですかね。とにかく木曜日にこういう電話があったと。で、実は次の日、先週金曜日にゼレンスキーがホワイトハウスを訪れたんですね。ちょっと印象的だったのがゼレンスキー大統領がスーツ姿だったんですよね。前にホワイトハウスに招かれたときは、いつもの軍服チックなTシャツ姿で、すごく攻撃されたんですよね。「ホワイトハウスにふさわしくない」とか、「スーツがないのか」みたいなツッコミがあったんですけど、今回、ゼレンスキーはスーツで来て、トランプも「素敵じゃないか」って言ったらしいんですね。まあ、「そこか?」と思うんですけど、どうもそうだったらしいんですね。
そもそも、今回なぜ、ゼレンスキーがホワイトハウスを訪れたかと言うと、武器供与がテーマなんですね。ゼレンスキーはトマホーク巡航ミサイルの供与をすごく希望しているんです。ですけど、トランプ大統領はトマホーク巡航ミサイルの供与に関しては慎重な姿勢で合意には実は至っていないんですよね。
なんで合意しないのか。その大きなポイントが、前日のプーチン大統領との電話会談だったんじゃないかと言われていて、このタイミングで巡航ミサイルをウクライナに渡すと言ったら、今後、ハンガリーで(米ロ首脳会談)の協議ができなくなる可能性が大きい。なので、あげるかもしれないけど、あげないかもしれない、そこを曖昧にすることによって、ロシアに対して揺さぶりをかけているんじゃないかと言われてるんですよね。
そもそも、トマホーク巡航ミサイルは、アメリカ産の高速高精度の巡航ミサイルで、飛ぶ高さがすごく低いんですね。30mぐらいの高さで飛ぶのでレーダーによる探知がすごく難しい。それで正確にターゲットに辿り着くと言われてるんですね。ハイスペックなものなのですごく高価で、一発あたり約240万ドル」
武田「240万ドルというと日本円だと?」
マライ「3億6000万円。一発ですよ。で、射程は長いんですよ。最大2500キロ。米国は、このトマホーク巡航ミサイルを4000発保有している。かける3億と考えると、うん、なかなかなものですよね。このトマホークの歴史は結構長くて、最初にアメリカが使ったのは1991年の湾岸戦争の時だったんですね。その時はイラクに対して使ったんですけど、一晩でイラク軍のほぼすべてのレーダーを破壊することができたんですね。ウクライナがなんでこのトマホーク巡航ミサイルをそんなにほしいのかというと、それは射程に理由があって、ロシア本土の深くへの攻撃が可能になるんですね。ただ、そこには問題もあって、ウクライナがそれほど強い武器を持ってしまったら、戦争そのものが更にエスカレートするのではないかっていう恐れもあるんですよね。で、どうするのか…」
この続きはradikoのタイムフリー機能でお聞きください。
「武田砂鉄 ラジオマガジン」は月曜~木曜 8:00~11:30、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
※タイムフリーは1週間限定コンテンツです。
※他エリアの放送を聴くにはプレミアム会員になる必要があります。
関連記事
この記事の番組情報
