「差別を煽るような政治家」とは?大竹まことがジャーナリストに聞く

「差別を煽るような政治家」とは?大竹まことがジャーナリストに聞く

Share

お笑い芸人の大竹まことが同世代や全世代の男女に向けてお送りしているラジオ番組『大竹まことゴールデンラジオ』(文化放送・毎週月〜金曜11:30~15:00)。10月20日の放送は、皓星社から発売されている『新版 学校では教えてくれない差別と排除の話』の著者である安田浩一氏を招き、本の内容について伺った。

大竹「今回は『新版 学校では教えてくれない差別と排除の話』ということですけども、この内容はいったいどういうふうになっていらっしゃいますか?」

安田「実はこの本、2017年に一度、同じタイトルで発売されてるんですね。そのときは、今世紀初めから盛り上がってきた差別と排外主義の話を中心にまとめたんですけれども、2017年から、そして今しばらく経って2025年、だいぶ差別の風景もまた少しずつ変わってきたように思うわけです。それまで在日コリアンなどを中心に排斥を目的とする言説が溢れかえっていましたけれども、今、例えばクルド人であるとか。あるいは、各地でもってとにかく移民は要らない、移民を排斥しよう、そうした動きも顕著になってます。各地でデモが行われてるんですね。そうしたことから、風景もまた変わってきた。必要であると言って受け入れておきながら、今度は逆に邪魔だから必要ないと言ってまた追い出す、そうしたことがはたしてあっていいのか。そうした思いから、また風景も新たになった部分を加筆し、それからこの本の表紙を描いてくれたイラストレーターの金井真紀さんとの対談も収めまして、2025年現在の差別の風景といったものを表すと同時に、なぜ人々は差別に走るのか、わたしたちは何をすべきか、何をしてはいけないのかといったことを本にまとめたという次第です。ですから、「新版」という表現を使っています」

大竹「なるほど。もう、その前は5刷りも記録するロングセラーの本をリニューアルして」

安田「そうです。タイトルが示している通り「学校では」と付いておりますから主に中学生・高校生でも読むことができるように、できるだけ平易な表現と、それから漢字にもルビを振るなどして、特に子どもにも手にとってほしい。でも、考えてみたら今、差別の主体となっているのは大人たちですからね」

大竹「そうですねえ」

安田「大人に読んでほしいなあっていう気持ちもあります」

大竹「安田さんはご本の中で、最近は外国人への差別を煽るような政治家が数多く誕生しているとお書きになってます。詳しく教えてください」

安田「特に地方議会でもそうです。地域から外国人を追い出す、あるいは外国人はいらない、あるいは外国人は危険だ、そういう主張することによって一定程度の票を集めてしまうという現象が起きてるんですよね。つまり、差別と排外主義は票になる、そう思い込んでいる政治家が少なくない。でも何よりも、やはり国会議員の中でも外国人の脅威を煽ることで何か自らの地盤を固くしたり、あるいは今、政府は『不法滞在者ゼロプラン』なるものを発表しています。つまり、不法滞在の外国人をゼロにしましょうと。その文言自体は何か正しいことのように受け止める向きも多いんだけれども、何を持って不法滞在とするのか。いや、そもそも不法滞在ってなんなの?っていう気持ちも僕の中にあるわけです。あるときは不法であるし、あるときは合法であったり、常に外国人を、私たちの国に定着させるためのシステムというのは変わってるわけですよね。そうした中で、いわゆる、例えば窃盗とか殺人とか、そうした犯罪とか、まるで違うわけです。ですから、国際的には今、不法滞在っていう物言いは、例えば国連では使っていないんです。英語では「アンドキュメンツ(または、一般的に Undocumented とも)」、つまり書類がない人々。つまり滞在資格を持たない人々という表現を使ってる。だから私は本の中でも、いわば日本に在留する資格のない人々を、「非正規滞在」、そうした表現にしてます。たまたま今、正規ではないけれども、いつか正規に変わるかもしれないし、あるいはかつては正規だったり、そうした様々な現象があるわけですよね。一律に不法だとして追い出す対象とするのはやはり間違っている。でも、そうした文言を用いて、一定程度、政治の場で語ってるのが国会議員であったり、国、あるいは政府そのものであったり、そうすると一定の権威を持ってそうした言葉が流布されてしまいますから、どうでしょう、今、身の回りでも、外国人怖いよね、いない方がいいよね、日本が日本でなくなるよね、日本の文化がなくなっていくよねと、そうした物言いをする人、増えてないでしょうか」

大竹「まあ、それが特に票になるかどうか知らないけど、選挙の際にそういう言葉なり、その排斥運動みたいなことがもう起こり始めてますよね」

安田「そうですよね。例えば街頭でナントカ人は出て行けと言うと、それはそれでさまざまなハレーションが起きます。言う方もそれなりの覚悟を持って言ってるんでしょう。政治家は選挙運動でそれを用いる。つまり選挙運動では何を言っても構わないと思ってるんですよね。そうした風景を私、ずっと見てきたんです。特定の民族、特定のルーツの人々を俎上にして、出て行け、危険だ、いる必要がない、これを堂々と選挙運動の場で述べているわけですよね。選挙運動だから許されると思ってる。僕はそこがやはり非常に腹立たしいんですよね」

この続きはradikoのタイムフリー機能でご確認ください。

「大竹まことゴールデンラジオ」は平日午後11時30分~15時、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

で開く

※タイムフリーは1週間限定コンテンツです。
※他エリアの放送を聴くにはプレミアム会員になる必要があります。

Share

関連記事

この記事の番組情報


大竹まこと ゴールデンラジオ!

大竹まこと ゴールデンラジオ!

月〜金 11:30~15:00

その他の主な出演者

“面白い”けれど”真剣に”、”くだらない”けれど”正直に”。 …

NOW ON AIR
ページTOPへ