自民と維新による連立、日本医療の危機を救えるか

自民と維新による連立、日本医療の危機を救えるか

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ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、10月23日の放送に元・日刊スポーツ編集局長の久保勇人が出演。自民党と日本維新の会の連立が、危機の叫ばれる日本の医療機関にどう影響していくか、解説を展開した。

長野智子「まずは病院で何が起きているか、というところです」

久保勇人「大変だ、大変だ、と言うけれど、皆さんどういう状況なのかわからないと思うんですね。いろいろな病院の団体の方に取材しまして。まず帝国データバンクがこの夏に発表したデータとして、今年上半期の倒産件数が全国で35件にのぼったと。過去最多ペースで、このままでは1年間で70件に達するのではないか、と。残念ながら、その読みどおりに推移しているみたいです」

長野「ええ……」

久保「(さらに医療機関の危機を説明して)いまの病院の状況は、思った以上に厳しいんですね。そういった状況を受けて高市さんがどのような政策をとるのか」

長野「診療報酬を上げると言っていましたね」

久保「そう。就任会見で、赤字に苦しむ病院や介護施設への対応として、診療報酬や介護報酬について、診療報酬改定の時期を待たずに職務改善につながる補助金を前倒しして措置する、と言いました。つまり補正予算を組む、と。これに対しては日本医師会の会長も、会見で『非常に心強い』『医療機関は年を越せないか、と心配しているところも多いんだ』『一刻も早く補正を成立させてほしい』と。一定の評価をしています」

長野「はい」

久保「ただし、いまの病院の赤字額は巨額です。国立大学病院協会だけでも400億円。補正で本当に確保できるのか。それから来年の診療報酬改定で10数%を実現できるのか」

長野「そうなんですよ」

久保「診療報酬改定を1%上げるためには5000億円必要だと言われます。普通に10%上げると5兆円かかるわけです。そういうことを行なって病院を救済してほしいけど、その財源はどうする、となります。こうしたことが消費税の減税論議に影響はないのか、保険料の引き上げにつながらないだろうか、など」

長野「だから連立合意文書が気になりますよね」

久保「その連立合意文書ですけど、維新はずっと社会保障改革、医療制度改革を重点政策に掲げて。医療費総額を年間4兆円削減して、現役世代の社会保険料の負担を1人年間6万円引き下げる、と主張してきて。参院選の公約にもしてきました」

長野「うん」

久保「維新が主導して自民、公明とは6月に社会保障改革案で合意して。病床も11万床削減しましょうとか。それからOTC類似薬ですね。風邪薬や湿布薬、薬局で買えるのと同じような薬については保険適用を除外しましょう、など。電子カルテを普及させて医療DXを推進して現場の作業負荷を軽くしましょう、ということに6月、合意しています。こうした主張を自民党が突き付けて連立合意でも文書の中にほぼ丸呑みさせている状態です」

長野「はい」

久保「見ると維新の主張が色濃く反映されていますが、1個1個を見ていくと、どうなっていくんだろう、と疑問が浮かぶような文言がいっぱい並んでいるわけです。たとえばOTC類似薬の見直し。収入が低い人、子育て世帯にとても大きな打撃になると。診療控えにつながって病気が悪化するなどのリスクがある、ということで医療界からはかなり大きな反論が出ています」

「長野智子アップデート」は毎週月曜午後3時~5時、火曜~金曜午後3時~5時35分、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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