「バックにアメリカが」オランダ政府が中国系企業を規制 その影響は?武田砂鉄が聞く
フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝のラジオ番組、『武田砂鉄ラジオマガジン』。10月27日は、月曜レギュラーでドイツ出身の翻訳家・エッセイストのマライ・メントライン氏と、半導体を巡る国際的な問題についてトークを繰り広げた。
マライ「今日はアメリカのトランプ大統領が来日します。その前にトランプ大統領はマレーシアの首都クアラルンプールにいたんですね。そこではASEANの会議が開かれ、アメリカと中国の閣僚級の貿易協議が行われたんです。焦点はレアアースで、輸出規制をめぐって協議してたんです。レアアースは確かに熱いんですけど、半導体も問題になっている、というような話をしたいなと思います」
武田「今、国際問題が問われる時に、レアアースと半導体っていうのはもう必ず出てきますもんね」
マライ「そうなんですよね。オランダ政府が中国系半導体メーカーのネクスペリアを経済安全保障上の理由で管理下に置くと決定、というニュースが先週入ってきました。オランダ政府がネクスペリアという会社の経営権を押さえたということなんですね。政府が会社の経営権を押さえるなんてあまり聞かないと思うんですけど、これはオランダ特有のもので、冷戦時代に作った物品供給法というのがあります」
武田「物品供給法?」
マライ「まあ、物品が不足しないようにっていう法律で、緊急時に製品が入手不能になる事態を防ぐためだといわれていますが、今まであまり使われることがなく、おそらく初めてのケースなんじゃないかといわれてるんですね。ネクスペリアは半導体を作ってる会社で、作ったり販売することはできるんですけど、経営に関する決定とかはオランダ政府に許可を取る必要があるというイメージなんですね。
なんでそんなことをしたかというとオランダメディアのNRCはこういっています。関係者によるとネクスペリアが半導体に関する知識を中国に漏洩する兆候があった、というんです。中国側が半導体の高度な知識を入手しようとして、ネクスペリアが協力したんじゃないかという疑惑がかけられてるんですよね。
ですけど、いろいろニュースを見てみると、どうもアメリカ政府がオランダ政府に対して法律を適用するように要請していたのではないか、といわれていて、つまりバックにアメリカがいるんじゃないか、ということになってるんですね」
武田「そうすると、この一つの半導体メーカーをめぐって国際問題になっちゃいますよね」
マライ「完全に国際問題ですよね。今の時点で、オランダ、中国、アメリカが絡んでる。とりあえず、ネクスペリアとはどんな会社かというと、オランダに拠点を置く電気機器メーカーのフィリップスから分離した企業なんですね。だから、もともとオランダの会社だったんですよ。なんですが、ある時点で中国政府の投資共同事業体に買収されたんです。その後、2019年に中国の企業、ウィンテックの手に渡ったんです。ウィンテックの子会社は主に自動車産業とか民生用電子機器向けの半導体を生産しています。工場はオランダにもあるんですけど、ドイツにもあったりします。で、半導体のスーパー大手なんですよ。ネクスペリアは、物にもよるんですけど全世界で40%のシェアを持ってたりするんですね」
武田「相当なシェアですね。40%といったらね」
マライ「なくてはならない存在と言ってもいいくらいなんですよね。で、作ってるのが主に自動車の部品とか、電気自動車のバッテリー用のチップとかを作ってるんですね。で、まあこれから規制があるので業務を継続できるのかが焦点になってるんですけど、実はオランダ政府が経営権を押さえたことに対して中国側が怒ったわけなんです」
武田「そりゃ怒りますよね。こういう措置を取ったらね」
マライ「要するに敵視されたっていうことです。すると、中国は全世界に対して半導体の輸出を制限しました」
その影響は?日本や世界各国の自動車産業はどうなるのか?トークの続きはradikoのタイムフリー機能でお聞きください。
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