ダンサー×歌人 表現で人を魅了するには?

ダンサー×歌人 表現で人を魅了するには?

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様々な社会課題や未来予想に対してイノベーションをキーワードに経営学者・入山章栄さんが色々なジャンルのトップランナーたちとディスカッションする番組・文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」。

2025年10月13日,10月20日の浜松町Innovation Culture Cafeは、『ダンサー×歌人 表現で人を魅了するには?』をテーマに常連さんに歌人の笹公人さんと、お客様にダンサーで、振付師のTAKAHIROさんをお迎えしました。

入山:ここからは、身体表現と言語表現というテーマでお話をしていきます。まず、最初にTAKAHIROさんは、人の体の動きで限りがありますが、その中でどういう風にして振り付けて考えてるのですか?

TAKAHIRO:ダンスは基本は音と向き合う。振り付けは、ダンスという現象を使って見ている方がいらっしゃる。現象を使ってどう印象を生み出すかっていうのが1つ大きな点です。振り付けは見る方がいることが前提で、見る方がその場において、その人の持った身体表現をどのような印象を受けるか。なぜ身体表現をするかというと、その人は伝えたいことがあったり、見せたい思いがあったり、それが歌詞だったら歌詞の中にある言葉の中にない、裏で「こういうことを感じてくれ」ということを体で付随して伝えるとより言葉が深みを持って通じるんじゃないかと。どうやって受け手の方に印象を持ってほしいかだから、難しい現象を起こせば素晴らしい印象になるとは限らないわけですね。なのでパフォーマンスする方ごとにその方の体の魅力をだったり、テーマに合わせて一番その人が伝えたい印象に近づける動きを一緒に考えていく。それが振り付けです。

入山:逆にダンスはもっとシンプルというか、湧き上がってくるものを元に動かせばいいということですか?

TAKAHIRO:ダンスになってくると基本向き合ってくのは人ではなく音になってきます。テーマはまた違うかもしれない。ただ、ダンスを人に見せたいとなったら、僕は何を見せたいのか。ただ、基本的には自分の中での対話が始まりで、それが人に見せるってなっていくと、昔は天にいる大きい存在に向かって、バレエがより天に向かってだったり、見せる対象によって動きが変わってくる。ただ、基本はやっぱり自分の中にある音楽への向き合いのスタートがダンスなんじゃないかなと。

入山:バレエは天に見せるということなんですかね?だから上に背筋伸ばすみたいな。

TAKAHIRO:そうですね。元々は宮廷だったり限られた高貴な人たちの中での儀式的なダンスだった。だから、日本の雨を呼ぶダンスに近いかもしれませんが、何かとコネクティングするより高い点に向けて足を天に伸ばしてと言われてるし、それがどんどん形式が確立していって、今の形になっていくっていう。諸説ありますが。もちろん、これは歴史が非常に深いので、ダンスバレエに関してはいろんな見解があるかと思います。

入山:笹さんどうでしょうか?ダンスと振り付けの違いのようにオーディエンスや見せる相手をどのぐらい意識するかということなんでしょうけども、歌を作られている時はその辺をどのように思いますか?

笹:短歌の発祥も神様に奉納するもの、あるいは「予祝(よしゅく)」と言ってあらかじめ「今年は豊作になりました。大漁になりました」というのを過去完了形で読むと。

入山:特に昔は神道とか色々あって豊作のお祭りみたいなものもあって、それが実は発祥みたいなものだと。

笹:そんな感じですね。それで今は自分の想いをどう伝えるかってのが主流ですけど。昔は、仏教の教えみたいなものを読む歌もあれば、僕みたいに SF を扱ったものもありますし、今はエモい恋愛の短歌が主流なのかもしれませんね。

入山:これ、TAKAHIROさんがお客さんを意識したり、アーティストを意識したりするように笹さんは外に対して意識するものは?

笹:僕は完全に読者ファーストですね。読者を喜ばせたいと思って書いています。そういう人はあんま少ないかもしれないです。結構自分の日記的な書く人が多いですし、どのようにその日記的な内容を修辞を使って詩的にするか、自分は矛盾してるんですけども、「自分の中で完結したい。でも人の見てもらいたい」という自分の中で、葛藤があるかと思います。

入山:TAKAHIROさん、いかがですか?

TAKAHIRO:全く同じです。アーティストでありたいか、エンターテイナーでありたいかという。「アーティスティック」と言うと、自分はこれが一番良いと思うけど、きっと他の人には分かってもらえないかもしれない。でも、この深さがある。分かってくれた人はその同じぐらいの深さで作品を見た時に意匠が変わるぐらいのインパクトを残せるかもしれない。だけど、周りの人には分かってもらえない。エンターテイメントに振り切ると、100人中の99人は楽しかったって言ってくれもかもしれないけど、明日には忘れられてしまってるかもしれない。ちょっと分かりやすくて、でも触れやすくて揮発しやすい。だから、アーティスティックであるべきか、エンターテイナーであるべきか。僕は振り付けということをしてますが、誰かが伝えたいことがあって、その伝えたいことのテーマがどこにあるかを想像しながらチャンネルというか、周波数を合わせるようにしています。

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笹公人さん
17歳で歌を作る「作歌」を始められた笹さんは未来短歌会に入会。その後2003年には、NHKEテレで、連続ドラマ化もされた第一歌集『念力家族』を刊行。さらに、歌集『念力図鑑』『抒情の奇妙な冒険』、作品集『念力姫』、エッセイ集『ハナモゲラ和歌の誘惑』自身の人生を詠んだ『終楽章』などを執筆。8月には、念力シリーズの集大成『念力物語』を発売。さらに「未来短歌会」選者、「牧水・短歌甲子園」審査員など、精力的に活動されるほか、16連射で知られる高橋名人のアルバムで11月15日発売の「名人襲名40周年記念アルバム」に収録される楽曲「ハートに16連射」では作詞も担当。

TAKAHIROさん
18歳でダンスを始め、23歳で渡米。「NY APOLLO theater」のテレビコンテストに出場し、史上最高記録となる9大会連続優勝を達成され、アメリカでプロデビュー。2007年には、Newsweek「世界が尊敬する日本人100」に選ばれ、2009年マドンナワールドツアーに参加。大阪世界陸上開会式などのイベントをはじめ、映画、ミュージカル、また欅坂46の「サイレントマジョリティー」「不協和音」を始め、櫻坂46、ゆず、中島健人など、
数多くの楽曲で振付を担当しダンス教育にも力を注ぐ。その他、ムーンウォークの20m、最速ギネス記録も所持。

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