将来が不安なのはドイツ人も日本人と同じ。ではZ世代は!?
フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄ラジオマガジン」(文化放送)。11月17日(月)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、月曜前半レギュラー、ドイツ出身の翻訳家でエッセイストのマライ・メントラインが、ドイツの年金制度や日本とヨーロッパのZ世代について語った。
西村志野「『マライの気になる世界のアレ』、今朝はどんなテーマでしょうか?」
マライ・メントライン「今日は『ドイツ人の将来への不安と、Z世代について』っていう話をします。まず将来の話なんですけど、皆さん、年金は心配ですか?」
武田砂鉄「心配も心配ですよ!」
マライ「スタジオでも結構うなずいてる方多めかな? ドイツ人も心配です」
武田「『心配してない国と地域ってあるのかね?』っていうぐらいね」
マライ「思いますよね確かに。実はドイツ人の多数の方が、公的年金に対して信頼の疑念を持ってるんですよ。要するに『もらえるんかね?』みたいな話なんですね。今月あるレポートが発表されたんですね。『老後資金レポート2025年』。そのレポートによると、18歳から65歳までの3200人に調査した結果、83%の人が公的年金はもはや将来にわたって信頼できないと回答したんですね」
武田「大分パーセンテージとしては高いですよね?」
マライ「5年前は54%にとどまっていたので、相当増えたとも言えるんですよね。ドイツの年金制度って、基本的に現役世代が今の高齢者の分を支払うみたいなことになっているので、そこが日本と似てますよね。だから今後は、自分の最低限の生活を支えるだけの制度になるかも知れないと考えているのも80%で、要するにさらに『自分でお金を用意しないと、これはもう暮らせないんじゃないかな?』っていう風に思ってるんですね。
さらに別の世論調査によると『自分の子供の将来は心配だ』と思ってるドイツ人も増えてるんですよ。だから『安心だ』と思っているのが27%。それ以外の人は7割が不安ですって、まあそれはね、親の心配としてあるかもしれないんですけど、『いやさすがにちょっと多くないかな?』て私も思ったんですね」
武田「やっぱり急激に年金に対する不信感が上がっていて、将来への不安も高まってるということになりますもんね、パーセンテージ見てるとね」
マライ「そうなんですよ。で、それがじゃあ『なんでそうなってるか?』って言うと、やっぱり『少子高齢化』なわけなんですよね。だから少ない若者たちが数としては大きい高齢者層を支えないといけない。『それは果たしてできるんだろうか?』ということになるんですよね。だからもちろん自分で老後の資金を準備しなきゃいけないって思うようになってるドイツ人も日本人も多いわけなんですけど、ただそこで調べてみると、30%は全く貯金をしていない。でも、プラスで考えると23%は月々せいぜい50ユーロ・日本円で8000円までしか積み立てていないっていうので、まだしてないわけですね、結局(笑)。まあ日本だとね、新NISAとかそういうものはあるわけですけど、ドイツでもやっぱり今後投資しないといけないかも知れない。でも投資の仕方はわからないし、どういう金融商品を選んだ方がいいのかな、とか迷ってるわけなので、そこら辺はまだ国としても改善の余地はあるだろうっていう風にはなってるわけですね。
で、今の年金制度なんですけど、実はドイツの国会が荒れてるんですよ」
武田「荒れてますか」
マライ「荒れてますね。ドイツのメルツ首相が、自分の政党の青年部と対立してるんですね。それがやっぱりその年金制度と関係していて まあ、詳しい話すると本当に細かくなるので、そこは割愛するんですけど、ただまあ簡単に言うと、これから定年を迎える人たちの年金をちょっと増やそうという話になっていて、しかも結構長いスパン増やしていこうっていう話になっていて、『ただ将来的にはまたちょっと下げるかも』ってなったら、今の若い人たちが『ただただ我々の負担が今めちゃくちゃ増えて、後で我々は何ももらえないじゃないか!』っていう考えになるわけですね」
武田「それはそうなりますよね」
マライ「だからその政党の青年部が怒って『そんなこと言うんだったらもっと根本的な年金制度の改革をした方がいいんじゃないか、それが先なんじゃないか?』っていうような声が上がっていて、青年部の議員の票が取れなかったら、実は今考えている年金政策は議会では通せないことになっているので、実は青年部の声は聞かないといけないんだけど、でも早く年金改革とか案を通したいというのはメルツ首相がちょっと悩んでいるという、そういう話になっているわけなんですね」
武田「フランスでも年金を上げるっていうことでデモにつながったりとか、この年金に対する政策っていうのは、それこそ高齢者層と現役層と若者層で非常に意見がバトルにつながりやすいってのは当然ありますよね」
マライ「それとよく似てるんですよ。だから今回のこの対立ってまさに若手VS高齢者の構造になってるんですよね。議員の若手議員がいわゆるZ世代の議員で将来に関してはとにかく言いたいことがたくさんあるっていうことなんですね」
この後、マライさんのお話は、『日本とドイツに見るZ世代』について展開していきます。続きは、radikoのタイムフリーでご確認ください!
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