外国人の受け入れをすぐに止めたらどうなるか
大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日11時30分~15時)、11月20日の放送に国立社会保障・人口問題研究所の是川夕(国際関係部部長)が出演。発売した著書『ニッポンの移民——増え続ける外国人とどう向き合うか』にちなみ、外国人の受け入れに関する現状や今後などについて語った。
大竹まこと「『ニッポンの移民——増え続ける外国人とどう向き合うか』という御本を紹介しましょう。この本はどのようなことを伝えようとしていますか?」
是川夕「移民が増えることに問題意識を持つ人たちに向けて、国際移住の動向やそのメカニズムを、データや理論を整理したうえで説明する、ということを目的にしています。ただ時折誤解されるんですけど、多文化共生を推進する、という本ではないんです」
大竹「はい」
是川「いま目の前で起きていることを理解するうえでいろいろな見方があるわけです。たとえば日本はもう選ばれない国だ、すごく閉鎖的な国だ、なし崩しの受け入れをしている、などの論がある。そういったひとつひとつの論は、互いに矛盾していて。いま起きている現象をスッキリと説明できないんですね。そういうことをそれぞれ検討したうえで、いま何が起きているかを明らかにする。それがこの本のいちばんの目的です」
大竹「インバウンドにしても、少し前まで『おもてなし』と言っていたのに。たくさん来て、街々ではそのために旅館の値段が上がって。日本人が旅行すると『こんなに高くなっているの?』と。このままではいけない、という弊害が起きる、ということがある」
青木理「インバウンドについては、ホテルが高い、お店が行列だ、タクシーが捕まらないなどがあるけど。この御本で焦点を当てないといけないのは、移民というか。旅行ではなく、日本に来て一定期間、あるいは生涯、日本に暮らすかもしれない外国籍の人、ということでしょう。当たり前ですけど少子高齢化が進んで少子化対策をしてもすぐに効果は出ない。増やさないと経済、社会が持たない、というのは常識だと思います」
是川「今年7月に日本経済研究センターという公益財団法人、シンクタンクが出した推計で、AIなどで生産性の上昇がかつてないほど進んだとしても外国人の受け入れをすぐ止めた場合、2030年代後半から日本経済はマイナス成長しかしない、という結果でした」
大竹「ああ、そう!」
是川「日経センターは政府からも出向者を出して、ほぼ政府の推計と同じ精度のものができる、信頼性の高いところです。そこがこれだけ生産性を上げても人手のところでゼロにしてしまったら日本は貧しくなるだけですよ、という推計を出した。大きいことかなと。常に『来年は今年より貧しくなるんだ』という状態が続くようになる」
大竹「間の2026年や28年というときも続いていると?」
是川「受け入れを絞ったり止めたりすると、その前奏曲が始まって、2030年代後半にはマイナスに落ち込む、ということです」
大竹「日本で働いている外国人の方の割合や数は判明していますか?」
是川「はい。国の届出などを見ていくと、200万人台なかばぐらいかな。外国人労働者として登録されている人たちです。外国人人口は370万人超で、総人口比3%になるかならないか、というところですね。3%ぐらいなので普通に暮らしているとなかなか会わない。外国人が多いな、と思うリアリティの大半は観光客だと思います」
大竹「そこが少しややこしいけど。街をよく見て、鉄道工事なんかしていると、仕切っている人は日本人だけど、ほか7、8人は外国の人ということもあります」
是川「産業セクターによってはだいぶ受け入れが進んでいるところもあって。そうして目にすることは多いですね」
「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午前11時30分~午後3時、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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