ラジオ「青春キャンパス」に描く、マンガ特集!【アーカイブの森 探訪記#72】
1980年代、文化放送の深夜帯は若者文化の発信源だった。その中心に立っていたのが――谷村新司。「ミッドナイト東海」から始まり、「セイ!ヤング」や「青春キャンパス」など、数々の番組を通じてリスナーの心をつかみ、文化放送を代表する“顔”として長く愛されていた存在だ。そんな谷村がパーソナリティを務めた「青春キャンパス」は、音だけで“青春”を語り、社会の空気を捉える独特の番組として知られていた。
毎週番組内で一つのテーマを設けていたが今回取り上げるのは、マンガをテーマにした一連の放送。いまでは日本の文化の柱ともいえるマンガだが、1980年代前半の当時は大友克洋が出現し、漫画表現が更なる進化を遂げるころ。電車内で漫画雑誌を読むいわゆる「マンガオタク」や「マンガマニア」といった存在が次第に大人になり始めたころだ。マンガをどう受け止めるかで、世代間の価値観すら変わるそんな時期だからこそ、少年ではない若者に向けた番組だったこの番組がマンガを取り扱ったのも自然と言えるだろう。
まず、あだち充をゲストに迎えた1982年8月30日の回。「高校生とマンガ」をテーマにした一万人アンケートを行っており、番組恒例だったというところでまず驚いた。ネットもない時代に一万人にアンケートを取っていたというのが信じられなかった。そこで、高校生たちが『タッチ』『みゆき』を同時に支持するという圧倒的な人気ぶりからあだち充をゲストに迎えたという。あだち充の実像を探ったとのことだが、一体どんな放送になったのか気になるところだ。ちなみに、後にあだち充が語ったところによると、題名の『タッチ』はバトンタッチから来ているらしい。この頃はまだ上杉和也が交通事故で亡くなり、上杉達也に主人公がバトンタッチして達也を中心に物語が進んでいく前だ。これを聴いていたリスナーもその後の展開に大いに驚いたことだろう。

また、翌日8月31日の放送では「少年マンガと少女マンガの比較」をテーマとして取り上げた。ギャグ・スポ根中心の少年マンガ、恋愛と“おとめチック”が主流の少女マンガ。しかし時代が進むにつれ、少女マンガにギャグが増え、少年マンガにラブコメが増えてきているというQR通信の書きぶりにはいささか反論もあるが、マンガ黎明期に子どもだった谷村がその変遷をどう捉えていたのかが気になるところだ。

さらに、9月3日に新進の女性マンガ家を迎えた回では、生まれたばかりの作品が読者に届くまでのプロセスや、デビュー直後の生活のリアルが語られた。1980年代と言えば当然、今とは違いメジャーになるには雑誌媒体を通すことしか方法が無かった時期。プロの漫画家を志す少年少女にとって垂涎の内容だったことは想像に難くない。

こうして見ていくと、「青春キャンパス」が若者に向き合って番組をつくっていたのだろうということが伝わってきた。ラジオを通してマンガの魅力を発信する。それができるのは谷村のパーソナリティ力によるものだと私は感じた。
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