知っていますか?「フェミサイド」イタリアで厳罰化…日本では? 武田砂鉄が聞く
フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝のラジオ番組、『武田砂鉄ラジオマガジン』。12月1日は、月曜レギュラーでドイツ出身の翻訳家・エッセイストのマライ・メントライン氏と、フェミサイドについてトークを繰り広げた。
マライ「今日は、イタリアでフェミサイド厳罰化、それは正義の進歩なのかというテーマです。皆さん、フェミサイドってご存知ですか?」
武田「ここ数年、よく聞く言葉になりましたし、そういった犯罪が起きてしまった時に、これはフェミサイドではないかというような言われ方も増えてきたなという印象はあります」
マライ「そうなんですよ。先週の11月25日は国連が定めた『女性に対する暴力撤廃の国際デー』なんですね。私が仕事をしているテレビ局のWebページでは先々週から特集が組まれて、やたらとフェミサイドって言われてたんですよ。そのワードがたくさん出てきて「フェミサイド…分かるけど、なんだろうな?」って思ったんですよ。ちょっと意識しだしたんですよ。ちなみに11月12日から25日は『女性に対する暴力をなくす運動』期間だったんですね。そのときは、例えば東京都庁とか味の素スタジアムが、パープルライトアップされてたんですね。それがまさに『女性に対する暴力撤廃の国際デー』と関係してるわけなんですね。
じゃあフェミサイドとは何なのか。フェミサイドとは殺人の1種なんですね。殺人はホモサイド(homicide)って言います。ホモ(homo)っていうのはラテン語で人間。(cide)cadereっていうのが殺すっていう意味なんですね。だからホモサイドで、人間を殺すっていう意味になってるんですね。フェミサイドはもちろん、フェミっていうのは女性ということなので、女性が殺される殺人事件っていうことなんですけど、そう簡単な話でもないんですね。単なる女性が被害者の殺人ではなく、“女性が女性であることを理由に殺される殺人”とか、“社会に根強く残る女性差別の延長線上で起きる暴力”という定義になっています。
そのフェミサイドには3つのタイプがあります。まず1、例えば親しい間柄、パートナーを殺害するというタイプです。それは、例えば女性を支配しようとする考えとか、自分の所有物のように女性を扱う意識とか、別れ話への報復というのが事件の背景にある場合ですね。これもフェミサイドですね。
2つ目が家族の名誉を守る為の名誉殺人。例えば結婚を拒否したとか、家族が認めてない相手と駆け落ちしたから自分の娘を殺害するっていう犯罪があるんですね。これもフェミサイドとカウントされます。
あとは、全然親しい間柄ではなくて知らない女性を殺してしまう、女性に対するヘイトクライムですね。それは女性への強い偏見が背景にあるという考え方になってるんですね。
ちなみにドイツだと結構、2の名誉殺人が問題になってるんですね。移民の中ではそういう習慣…と言っていいかちょっとわからないんですけど、風習みたいなのがあって、家族の名誉が女性の命よりも大事だっていうのがあって。そういう女性たちをドイツ国内でどのように守るのかというのが新たな社会課題になってるんですね。じゃあ日本にはあるのかないのか。さっき砂鉄さんも日本でもニュースになってるって言ましたけど、例えば2021年に起きた小田急線殺傷事件」
武田「ありましたね」
マライ「覚えてますか?」
武田「僕、この電車の何本か前に乗ったんですよ。だからその後にこういうことがあったんで、すごく驚きました」
マライ「それは衝撃ですね」
武田「この時の犯人の動機ですよね」
マライ「そうなんです。犯人は女性を刺したんですけど、その動機は私もすごく印象に残っていて、「幸せそうな女性を見ると殺してやりたいと思うようになった」っていうんですね」
武田「さっきのマライさんの言ってた、3番目の女性に対するヘイトクライムっていう、自分があんまりうまくいってないのは女性たちのせいだとか、女性たちの権利を認めすぎてるから、こんな世の中になってしまったんだみたいな、そういうような供述があったってことですもんね」
マライ「そういうことなんですね。だから日本でもフェミサイド…この事件は殺人未遂だったんですけど、起こり得るというか、実際に起きているっていう考え方もあるんですね。これがフェミサイド事件ですっていう風に特に認定はされていないのがポイントなんですけど、ただ、そういう考え方で、一応フェミサイドといえると思いますね。じゃあ世界の現状、今どうなっているのか。国連女性機関の2024年の報告書によると、世界では10分毎に一人の女性や女児がパートナーや親戚によって殺害されているんです」
このあと、フェミサイド驚きの現状を明らかに! 続きはradikoのタイムフリー機能でお聞きください。
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