木村草太「勝っているのに負けを宣言!?」
将棋の棋聖戦二次予選、行方尚史九段が佐藤康光九段に勝ちましたが、実は佐藤九段は勝っている局面であるのにもかかわらず「投了」を宣言してしまった。12月2日の「武田砂鉄ラジオマガジン(文化放送)」では、自身も将棋を指す東京都立大学大学院教授で憲法学者の木村草太がこの対局について語った。
木村「将棋の世界には『とがめられない悪手は好手』という言葉がありまして、わかりやすくいうと、悪い手でもきちんとつぶしたり、受けたりしておかないと悪い手がかえって良い手になってしまうという格言があるんです。その究極の形が9六玉という手なんです。どういう手かというと、先手・行方九段が華麗に攻撃をかわして玉を逃げさせたという手で、これで佐藤九段が投了。つまり負けを宣言したんです。攻められながら自分の玉は守れないから『負けました』と言ったんですが、ところが驚天動地で、この対局が終わった後に調べてみると、この局面で佐藤九段の側から勝つ手順が発見されたんです。それなのに佐藤九段は『負けました』と宣言してしまった。これが将棋界では大ニュースになっているんです。これはまさに『とがめないと相手の悪い手が良い手になってしまう』という究極の形といえるのではないかと思います」
砂鉄「負けてなかったってことですよね?」
木村「そうです。むしろ勝った局面で投了してしまった」
砂鉄「それは物凄い珍しいケースなんですか?」
木村「物凄い珍しいです。ただ佐藤九段が弱かったということではなくて、勝つ手順が非常に難しかったということです。確かに勝っているんだけど勝ち筋を見つけるのが制限時間内だと極めて難しかしかった。神の目から見ると勝っているかもしれないけれど、人間の目では負けているように見えてしまった。将棋界ではこういったケースはゼロではないんです」
番組では、この他にも木村草太が将棋の魅力について語っています。もっと聴きたいという方はradikoのタイムフリー機能でお楽しみ下さい。
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