木村草太「高市総理の旧姓の通称使用を法制化する私案について」
高市総理は旧姓の通称使用を法制化する法案を来年の通常国会に提出し成立を目指しています。12月9日の「武田砂鉄ラジオマガジン(文化放送)」では、東京都立大学大学院教授で憲法学者の木村草太がこの問題について語った。
木村「よく言われる話として、夫婦別姓というと通称使用がたくさんできるから十分じゃないかと言われたりするんですが、法律家の観点から押さえてほしいのは、 通称がいくら使えても法律の議論としては全く無意味ということです。
法的には自分が使いたい時に権利として相手に自分を総称するように請求できる。
そういう権利があるのかというところで初めて法的に意味のある議論になるわけです。
通称使用というのは法的根拠がないので全く権利ではない。よって今、認められていても『やっぱり面倒くさいから辞めるね』って相手に言われたら法的には何も言えないんですね。そんな脆弱なものを議論の根拠にする時点で話は終わっているわけです。
通称使用で十分ではないですかという議論については、例えば『外国に行く時、 使えないんです』という反論が目立ちます。そういう実質的な反論も重要なんですけれども、我々法律家の観点で大事なのは『権利なんですか?』っていうことなんです。
権利として認められるんですかっていうことに対して、認められないのであれば、 いつでも撤回できるものということになるわけですよね。『それじゃいくら通称利用が できても意味ないですよ、権利として認めて下さいっていう話をしてますから』 そういう話をしていかなくてはいけないということになります。
今度、高市政権が出すと言われている通称使用に法的根拠を設ける法律ですけど、 議論すべきは、それはどこまで『この氏で呼んでくれ』っていうことを請求できる権利が広がるのかということなんです。
婚姻前の氏を使い続ける権利を保証するものなのか、 それはそういう場面で行使できる権利を付与するものなのかというところがポイントで、それがないとあまり意味のない話をしているということになってしまいます」
番組では、この他にも木村草太が選択的夫婦別姓制度について語っています。もっと聴きたいという方はradikoのタイムフリー機能でお楽しみ下さい。
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