武田砂鉄「考えたくはない」東京・大阪に集中するデータセンターのトラブルを指摘
フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝のラジオ番組、『武田砂鉄ラジオマガジン』。12月22日は、月曜レギュラーでドイツ出身の翻訳家・エッセイストのマライ・メントライン氏と、日本のデータセンターについてトークを繰り広げた。
マライ「今日は、AI国策で爆増するデータセンターは人類を幸福にするのか?というテーマです。私は最近、データセンター建設がすごく話題になっていると思っています。“AI立国目指します”とかよく聞くようになったんですけど、日本としてAI立国を目指すのであれば、とても重要になるのがインフラ資源です。そのインフラであるデータセンターが最も重要だということになります。で、今、あちこちで大型データセンターの建設が企画されていますが、なぜデータセンターがそんなに必要なのか?」
武田「うん」
マライ「例えば、私たちがウェブ検索したり、ネットで動画見たり、オンラインの買い物したり、オンライン振り込みをしたり、レストランのQRコード注文、電子マネー決済、AI画像生成とか、こういうことをするには全部データの処理が必要なわけです。そういうのをデータセンターでやるんですよね。“データセンター 建設”でググると、海外のプロジェクトもいっぱいあるんですけど、富山県の南砺市のデータセンター建設計画というニュースが出てきたんです。日本政府と地方自治体と民間企業は富山県で国内最大級となるデータセンター集積地「南砺キャンパス」計画を進めているんですね。なんで富山県にデータセンターができるんだろうって気になったんですけど、まず、データセンターとかAIサービスというのは、ものすごく外からの影響に弱いんですね」
武田「弱い?」
マライ「例えば、熱に弱いとか、揺れに弱いとか、技術的にあまりに刺激を与えちゃダメなんですね。特にAIの計算とかもそう。なので、災害リスクの低い地域として富山県の南砺市が選ばれたわけなんですね。じゃあ、既存の日本のデータセンターはどこにあるかというと、実は約85%が東京と大阪圏に集中しているんです。でも東京だって地震はありますよね」
武田「考えたくはないですけど、東京・大阪圏で大きな地震があると、今あるデータセンターでいろいろトラブルが生じる可能性があるわけですね」
マライ「まさに。日本の場合だとどこで地震が起きてもおかしくないと思うんですけど、だからこそ分散しないといけないわけです。85%が東京と大阪だったらそれは困るということで、富山県いいよねっていうことになるわけですね。地方に安全なデータセンターを建設すれば、アマゾンとかグーグル、マイクロソフトとか、そういう大手を誘致できるかもしれないと考えてプロジェクトを進めているわけで、地方の活性化にもつながるかもしれません」
武田「ただ、日本ってもはや広大な土地が残されてるわけでもないですよね」
マライ「そうですね。もしかしたら山の中に建てるとかユニークなデータセンターが今後は出てくるかもしれません。ただ、国としてはものすごく積極的になっていて、日本の国内のデータセンターの投資額は今後どんどん増えるんじゃないかと言われています。例えば2028年には1兆円を超える新設・増設投資が見込まれているという記事もありました。ただ、データセンターがこんなに必要なのか、アメリカのテック大手を誘致するのはそんなにメリットがあるのか、と思う方もいるかもしれないんですけど、実は日本国内の大事なデータは国内で保存すべきだという議論があるんです。この間、マイナンバーカードの保険証が話題になってたと思うんですけど、パスポート情報とか、健康情報とか、そういうものは国外に保存してはいけないデータだったりするんですね。ヨーロッパでも全く同じ議論があって、EUの外にどんなデータを置いていいのか。海外のデータセンターは安かったりするんですけど、大事な情報は国内に留めておく必要があるということで、高くなるんだけど、どこまで払えるのかという議論があったりするんです。日本でも、そういうことを今後、考えていかないといけないわけなんですね」
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