「巳年の魔力」に振り回された2025年の政局を振り返る
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、12月25日の放送にノンフィクション作家の常井健一が出演した。自身が番組で語ってきたテーマをもとに、2025年の政局を振り返った。
長野智子「ここ(資料)に、いままで話してくださったテーマが並んでいます。やっぱりおもしろかった。このあとどうなったんだろう、というのも含めて気になります」
常井健一「私は普段、ノンフィクションを書いている人間です。この番組でも、できるだけニュースよりも人物に焦点を当てて。すると政治がどのように見えるのか、といった話をしてきました。この人はなぜこう動くのか、この構造の背景にはどんな人間関係があるのか、ということを意識して掘ってきた。手前味噌になりますが、新聞やテレビで話題になるより早くお届けできました。公明党も離脱するんじゃないか、という話を2月にしていた。春には高市さんに言及し、秋の総裁選の直前では小泉進次郎さんは必ず失速しますよ、と」
長野「当たっていますね」
常井「最近、この番組で話した論点を政治家が取り上げてくれたり、マスコミが後追いしてくれたりするケースも増えました。本日発売の『週刊文春』や今週発売の『月刊日本』でも11月の放送で触れた立花孝志さんの事件を絡めて、後押しした石川智弘さんの話を書いています」
長野「改めて今年の政局をまとめるとどうなりますか?」
常井「一言でいうなら巳年の魔力に振り回された1年だと思います。巳年は12年に一度、参院選と東京都議選という、性質がまったく異なる大事な選挙がダブルで行われる年です。政界では大波乱になる、魔物が出るような年になる、といわれています」
長野「今年の初めに話していましたね」
常井「そのとき紹介した言葉が、1つは橋本龍太郎さんが言った『巳年の政局はすべて参院選から逆算して決まる』。もう1つは巳年に総理大臣さんになった小泉純一郎さんが言っていた『政治の変わり目というのは参院選の前後に起きるんだ』。そのとおりになりました」
長野「なりましたね」
常井「明日、このスタジオに来る石破さんですけど、石破政権って参院選と都議選のダブル選を意識して、争点化を避け続けました。一見、国民の顔色をうかがっているようで、実際にしていたのは、選挙を視野に業界団体をつなぎとめて、党内の内紛の火種を消すことに終始していた。その結果、政治改革、夫婦別姓、社会保障、物価高、みんな中途半端になった。あんこのないあんぱん、という言葉もありましたね。31年ぶりの少数与党国会ですよ、と正月に話しましたが、とても『熟議』と呼べるものにはならなかった」
長野「石破さんがもし、党内の内紛を収めようとしなかったら、どうなっていたんでしょう。違う『いま』があるのかな」
常井「じつは24年前の巳年、森喜朗政権でした。あのころも総理が不人気で与党が弱くて。巳年のダブル選挙が原因で、総理が引きずりおろされたと。ただ今年と大きな違いがあって。当時の自民党は、党をぶっ壊す覚悟がある若手・中堅と、壊しすぎないベテランが両方いた。でもいまは両方いない。だから今年の夏、50日間も石破おろしが続いた」
長野「そういうことなんですね」
常井「石破さんが踏ん張った、という解釈もできます。ただ総裁選に持ち込んだら、体力の落ちたベテランほど、勝ち馬の小泉陣営に乗った。ステマ問題というスキャンダルが出たら、ベテランは知らんぷり。命がけで政治している人がいまの自民党にはいないんです」
「長野智子アップデート」は毎週月曜午後3時~5時、火曜~金曜午後3時~5時35分、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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