【102回箱根駅伝】「後悔しか残っていません」帝京大学・浅川侑大が語る後悔の理由と覚悟「出雲駅伝の前に…」

【102回箱根駅伝】「後悔しか残っていません」帝京大学・浅川侑大が語る後悔の理由と覚悟「出雲駅伝の前に…」

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(写真:前列右から3番目が浅川侑大)

2025年1月3日。熱狂のうちに第101回箱根駅伝は幕を下ろした。
帝京大学は“4つ巴”のシード権争いを制し、総合10位でフィニッシュ。往路14位ながら復路は4位でシード権を獲得した。見事な巻き返しに、チーム全体が安堵した。その中で、人目もはばからず涙を流す選手がいた。浅川侑大だ。

「当日まで走るぞと言われていて、最後まで何があるかわからないと思ってしっかり調整して走る準備をしていました。走れなくて、本当に悔しくて、結果報告会の時に悔しすぎて涙が止まらなくて……。大手町をボロ泣きで歩きました」

昨季は重要な選考レースのひとつである上尾ハーフマラソンでチーム32人中トップの成績をおさめ、箱根駅伝のエントリーをつかみ取った。出走が手に届くところまできていた。だが、言い渡されたのは「チーム11番手」——。あと一歩、届かなかった。

「でもあの悔しさがあったからこそ、日本学生ハーフでの61分台だったり、立川ハーフでの攻めたレースだったりとか(2位)、関東インカレでもしっかり戦うことができたり(2部ハーフ7位入賞)、成長はありました。そこで腐るか腐らないかで変わるっていうのは今までの先輩を見ていても感じていたので、“自分は絶対腐らないぞ”っていう思いを持って頑張ることができました」

強い覚悟で挑んだ今季は、出るレースでしっかり結果を残してきた。三大駅伝初出走となった11月の全日本大学駅伝では8区区間8位、チームの順位を1つ落とすことにはなったが、箱根に向けてはいい刺激になった。

その浅川が前回の箱根にここまでの悔しさを抱えるのは、単に走れなかったからだけではない。静かに、理由を明かした。

「父、母、お世話になった方が応援してくれていて、その人たちに見せたい気持ちがありました。病気の父に次こそは見せようと思ったんですけど、今年の出雲駅伝の前に他界してしまって……。もうほんとに後悔しか残っていません。自分が走れなかったっていうよりも、見せられなかった後悔が大きかった。全日本で走っても、見せられなかったので」

病床の父に、いつまで走る姿を見せられるか分からない。だからいつも、今、頑張る必要があった。今年のテーマは「主力になる」。どんなレースも「ここで結果を残せなければ次の箱根もない」と自分にプレッシャーをかけて走り続けてきた。同じ後悔を二度としない、覚悟を行動で体現してきた。

3月のEXPO駅伝、5月の関東インカレが、父に見せられた最後の走りだったという。EXPO駅伝では記念大会ということで身にまとったファイヤーレッドのユニフォーム姿を見せられた。関東インカレでは先頭を走る姿を見せることもできた。

「乗り越えたっていうよりは、まだ深く考えないようにしてます。まだ悲しみくれていないんです。(そのことで)自分が走れないと、父は悔しくて申し訳ないと思ってしまうと思う。だから、いい意味で忘れるというか、箱根を走りきって悲しもうと思っています。悲しいときもあるんですけど、そういう時はしっかり箱根に意識を切り替えて、箱根が終わった後に盛大に悲しんであげられたらなと思っています」

浅川は12月29日の時点では5区にエントリーされた。初の箱根は天下の剣に挑むことになりそうだ。浅川の本気はみんなが見てきた。懸命に走るその背中は、チームを勇気づけるだけでなく、きっと父のもとにも届くだろう。苦しくなったときには、生前幾度もかけられた「いけるぞ」「絶対に侑大ならできる」という言葉を思い出して、箱根の山を駆け上る。

目標は”5強崩し”。『世界一諦めの悪いチーム』が上位進出を狙う
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