中島岳志「スパイ防止法とは?」
衆院選で自民党が3分の2の議席を獲得。高市総理が制定に意欲を示す「スパイ防止法」が夏にも議論され始める見通しとなった。2月17日の「武田砂鉄ラジオマガジン(文化放送)」では、東京科学大学教授の中島岳志が「スパイ防止法」について解説した。
中島「ニュースとか新聞で『スパイ防止法』は報道の自由、表現の自由の制約に繋がりかねないと出てきているんですけど、権力がこういうものを弾圧するっていうだけではなく、私たちの中に自主規制が働いてしまうっていうのが『スパイ防止法』の非常に大きなポイントだと思うんです。
フランスの哲学者でミシェル・フーコーという人がいたんですけど、この人が『監獄の誕生』という本を書いているんです。フーコーは刑罰の歴史を見ていくと、その時代の権力の在り方がよく見えてくると考えていて、刑罰の歴史をずっと追いかけていたんです。
フーコーによると近代になると新しいタイプの監獄が生まれるというんです。それはパノプティコンっていうんですけど、どういう特徴があるかというと、ドーナツ型の建物なんですね。そこに個室がずっと並んでいて真ん中に監視塔がある。これまでは20人くらいが集合で監獄に入れられていたのが個室になって孤立させられるんです。それと同時に真ん中の監視塔から監視されるわけです。重要なのはこの監視塔のつくりで監視塔の中からは囚人が360度見渡せるんですね。しかし囚人の側からはライトの当て方などで監視塔の中が見えない仕組みになっているんです。
こういったパノプティコンをつくるとどうなっていくのか、私たちが囚人になったつもりで考えてみると、一番気になるのは監視員ですよね。でも、いくら目を凝らしても監視塔の中が見えない。『オレのこと見てるのかな?』とずっと思っていると、見られているということ前提に行動し始めるようになるんです。こうなっていくと、みんなが規律正しくなっていく。“権力の眼差しの内面化”が起きているというわけです」
砂鉄「そこで監視する人は本当はいなかったとしても、多分いるだろうなと思う。そうすると監視する側は楽ちんですよね」
中島「おっしゃる通り。これが一番のポイントなんです。つまり、この監視塔の中は空っぽでいいんです。監視している人間がいるかどうかが問題じゃないんです。統治にとって重要なのは監視することではなくて、監視されていると思わせることなんです。見られていると思わせることが最もローコストで効率的で効果的に支配できる方法なんです」
番組では、この他にも中島岳志が「スパイ防止法」の問題点について語っています。もっと聴きたいという方はradikoのタイムフリー機能でお楽しみ下さい。
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