妊娠しない権利求めた「わたしの体は母体じゃない」訴訟を現役弁護士が徹底解説!

妊娠しない権利求めた「わたしの体は母体じゃない」訴訟を現役弁護士が徹底解説!

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フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝のラジオ番組、『武田砂鉄 ラジオマガジン』。3月23日は、弁護士の三輪記子氏が「『わたしの体は母体じゃない』訴訟」について解説した。

三輪「今日のテーマは、「『わたしの体は母体じゃない』訴訟」の第一審判決が先週3月17日に出たので、この判決について今日はお話ししたいと思います。

ラジオマガジンは私もずっとリスナーで、中島岳志さんがリベラルとパターナル(家父長主義や権威主義)の話をされていますよね。この裁判は、原告がリベラル、被告の国はパターナルで、不妊手術を簡単に受けられるようにしてくださいっていう裁判なんですけど、国は「いやいや、後悔するかもしれないから、皆さんのためにこの法律ってあるんですよ」っていう、まさにパターナルな規制をしているわけです。

まず、原告が求めたのは『原告ら4名が、罰則を受けることなく、自らの意思のみに基づいて、医師又は指定医師による不妊手術を受けることのできる地位にあることを確認する』ことです。罰則を受けずに自分の意思だけに基づいて不妊手術――妊娠できないようにする手術――を受けさせてくださいっていうのが、原告が求めたことです。

ここで「えっ、罰則があるの?」って思われるんじゃないかなと思うんですね。罰則があるから、妊娠しなくする手術を受けられない。私はこの訴訟を初めて知った時にそう思いました。同列に語っていいのかちょっと問題があるかもしれないんですけど、豊胸手術とか逆に胸を小さくする手術って受けることができるんですよ。胸を小さくする手術は、スポーツ選手とかが競技に邪魔だからということで受けたりしてるんですよね。これはニュースにもなってたりするし、豊胸手術はいろんな広告とかもあったりするわけですよね。それで罰則はないわけです。だけど、妊娠しないようにする手術は、かなり制限されています。というか、原則禁止なんですね。実は、母体保護法という法律がそれを原則禁止にしています。

じゃあ、その母体保護法の規定について見ていきたいと思います。法律を確認する時にとっても大事なのは「目的」です。なんでその法律を規定しているのか。目的はだいたい1条に書いてあるんですね。母体保護法1条は『不妊手術及び人工妊娠中絶に関する事項を定めること等により、母性の生命健康を保護することを目的とする』、これが母体保護法の目的です。

この母体保護法で不妊手術――妊娠しないようにする手術――をどういうふうに規定しているのか? これは、医師が不妊手術を行うための要件がこの法律に定められていて、大きく4つからなっています。まず、本人の同意。これは当然ですね。そして、配偶者があるときは配偶者の同意。女性なんだけど配偶者の同意も手術に必要なんですよ。で、未成年ではないこと。もう一つは、次のいずれかの要件を満たさなきゃいけないんです。まず、『妊娠または分娩が母体の生命に危険を及ぼす恐れのあるもの』。または、『現に数人の子を有し、かつ、分娩ごとに母体の健康度を著しく低下するおそれのあるもの』、これを満たさないと不妊手術ができないんですよ。

武田「これは確認ですけど、すべてを満たすっていうことですよね」

三輪「そうですね。生命危険要件は「または」っていうところもあるんですけど、原則としてというか、これ全て満たさないと不妊手術ができないんです。なので、不妊手術ができる場合って、かなり制限されているから、だからこそ原則禁止なんですね。これが母体保護法の28条なんですけど、かなり厳しい要件ですよね。不妊手術の原則禁止に違反した人は、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金と定めて罰則をつけて、ほとんどの場合に――日本では、ですよ――不妊手術ができないとなってるんですよね。こういう規定があるから、自分は手術をして妊娠しない体にしたいっていうことが実現できない。だからこれを国を相手に訴えた、っていうのが本件訴訟なんですよね。

ちなみに、厚生労働省は『母体保護法の施行について』という通知を出していて、そこではこんなことが書かれています。一部省略するけど紹介しますね。『健康者が経済的理由とか、単なる産児制限のためとか、又出産によって容ぼうが衰えることを防ぐため等、この法律の目的以外に利用することを防ぐため』『生殖を不能にすることを目的として手術又はレントゲン照射を行うことを禁止したもの』というふうに母体保護法についていってるんですよ。だから、単なる産児制限とか、単純な理由で生殖不能の手術なんてしちゃいけないよっていうことを通知も出してたんですね。

原告の方はいろんな理由で「自分は妊娠しない体にしたいです、手術を受けさせてください」っていってもできないから、それを受けられる地位の確認を求めたんですよね。こんな法律があったら、当たり前ですけど、日本で不妊手術してくれるお医者さんはいないじゃないですか。法律に違反しちゃうから。だけど、法律はそういうふうになってるけど憲法があるよね、と。憲法の13条で、性と生殖に関する自己決定は保障されてるんじゃないですか、この法律はそれを制限してるから違憲ですよね。違憲の法律を執行してたらダメですよね、っていうふうに訴えたわけです。

武田「なるほど」

三輪「結論としては原告の請求は認められなかったんですけど、ここから判決についてご紹介したいと思います」

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