日銀 賃上げ継続見通しも「新卒優遇」 中高年賃金は抑制傾向
4月7日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、「賃上げ見通しと中東情勢の影響」について意見を交わした。

実質賃金や実質所得が下がっていくシナリオが増えていく気がします
日銀は4月6日に発表した4月の地域経済報告(さくらリポート)で、2026年度も25年度並みの賃上げを見込む企業が多いと評価した。人手不足を背景に賃上げ圧力はなお強い。
さくらリポートは「価格転嫁の進捗などから業績の好調が続くとみられ、高めの賃上げをおこなう方針」、「人材確保のため26年度も同じ程度の賃上げが必要」などの企業の声を紹介した。中東情勢の悪化を受けて、今年度の賃上げを見送る動きは限定的だった。
連合が公表した今年の春闘の三回目の回答の集計は、基本給を底上げするベースアップと定期昇給を合わせた賃上げ率が5.09%だった。中小企業も5.0%を維持した。
「今年度も25年度並みの賃上げを見込む企業が多いという評価、賃上げをめぐる動き。田中さん、これはどうご覧になりますか?」(寺島アナ)
「まず賃上げの中身。中小企業がかなり慎重になるのは、実際に私も身近な学生さんの就職活動で人事担当者の発言を見ても、新卒採用については手厚く賃上げをアピールします。だけど、既存の中高年の賃金については非常に抑制気味。そういう姿勢が以前から続いているんですけど、より一層鮮明かな。新しい人材が欲しいから賃上げをアピールするけど、すでに働いている人たちには塩対応という形の賃上げですよね。これから中東危機が長引けば長引くほど、これが一般的になりかねない感じがします」(田中氏)
「はい」(寺島アナ)
「中東危機の長期化は避けられないのではないか? 長期化というのはどれくらいの期間のことを言うのか、それに応じて考えなければならない経済問題が色々と出てきます。よく話題になる実質賃金ですけど、やはり物価が上がってくるのは避けられないと思います。コストプッシュ型のインフレは、ようやく落ち着き始めた物価をまた押し上げていく」(田中氏)
「はい」(寺島アナ)
「今のところの春闘ベースの賃上げでいくと、先行する2024年、2025年並みくらいの賃上げのペースなので、それを維持できれば実質賃金はギリギリプラスを維持するんじゃないか? ただそれも、中東危機が長期化したら物価が上がってきますし、実態の賃上げのまずさが顕在化してきますから。そうすると、実質賃金や実質所得が下がっていくシナリオが増えていく気がしますね」(田中氏)
中東情勢の悪化で一部の中小企業は慎重な声を出している。従来から中小企業には業況が厳しくても人手確保を目的に賃上げに踏み切る企業が多くあった。日本商工会議所が2025年12月に実施した調査を見ると、今年度に賃上げを予定する企業のうち7割近くが業績改善を伴わない防衛的賃上げだったという。
「中東情勢の悪化で一部の中小企業からは、賃上げに慎重な声も出ている。しかし人材確保のためには賃上げをしなくてはいけない。田中さんからご指摘があった通り、こういう状況なんですね」(寺島アナ)
「ですよね」(田中氏)
「いずれにしても、日銀の“さくらリポート”は25年度並みの賃上げを見込む企業が多いと評価したものの、中身をよく見ると“ん?”という状況になりつつあります」(寺島アナ)
〈出典〉
日銀地域報告、中東情勢悪化でも賃上げ維持 一部中小で鈍化懸念 | 日本経済新聞(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB02CZ30S6A400C2000000/)
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