ロバート キャンベルが提言する「お世辞と脅しは表裏一体」論
フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄ラジオマガジン」(文化放送)。4月9日(木)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、木曜前半レギュラーの日本文学者・ロバート キャンベルが、日本や世界における「お世辞」と「脅し」について考えたことを解説した。
ロバート キャンベル「砂鉄さん、先週僕はこの『カーゴパンツ・ダイアリー』で『バリューって何なんだろう?』っていう話をしたけれども、着地点がすごく甘くて、ポッドキャストで聞き返したらすごく落ち込んじゃった」
武田砂鉄「そうですね。時間配分が合わなかったってことじゃないですかね? 3日のうち1.5日分ぐらいしか喋れなかったですもんねえ」
ロバート「そうですよね……あの砂鉄さん、今のはね、お世辞を言ってもらうところだったんですよ。『そんなことはないよ』って(笑)」
武田「ちょっと私結構苦手なジャンルなんですよ、お世辞っていうのはね(笑)。……あっ、良かったですよ!」
ロバート「それはお世辞だよ(笑)」
西村志野「編集点を作りましたね(笑)」
ロバート「今日はですね、お世辞と裏腹の関係にあると思われがちな『脅し』について話そうかなという風に思ってます。
脅しをかけることとお世辞を言うことは、私2つとも全然違うかなと思ってたけれど、最近実は表裏一体で、『どちらも相手を思い通りの行動に仕向けるリスキーな戦術だな』というふうには思うんですね。
脅しといえば相手にとって痛みを伴う損失を与える状況を作ることで、自分に有利な条件を引き出そうとする心理戦のようなものなんですよね。
短期的には効果を発揮する場合もあるけれど、一歩間違えれば自分に跳ね返ってくるし、つき進めれば犯罪行為になったりするということもあるような気がするんですね。
ビジネスの世界でも、交渉相手に対して脅しのようなものを使うこともありますよね。
『この条件を飲まなければ取引を打ち切る』とか、『競合他社に発注をかける』とかあると思うんですけど、砂鉄さんは編集者時代、結構作家たちと結構厳しいやり取りもあったと思うんですけど、脅しのような手を使うことはありましたか?」
砂鉄「編集者として一番シンプルな脅しは『もう木曜日まで原稿来ないとこれ白紙になるからね』『真っ白で雑誌が出ちゃうからね』っていう脅しはありますけどもね。実際はもう何日か大丈夫だったりもしますけど」
ロバート「あっ、実は猶予をあるのを隠しておいて……」
砂鉄「かつては脅してましたけど、今は脅される側に(笑)」
ロバート「脅しが効果を発揮するのは、多分人間の基本的な心理だと思うんですね。この損失を避けたい、白紙に戻されてしまうということが怖いですよね。
そういう欲求があって、『損失回避バイアス』と言われるわけですけれども脅しをかける側はその真理を利用して、『このまま交渉を続けると大きな損失を被るよ』ということでやっていく。それで譲歩をしたりするということになるわけですね。
そこでこの『世紀の脅し』ともいえるトランプ大統領が7日の朝、イランの民間施設への爆撃を予告するSNS投稿……『今夜一つの文明が丸ごと滅び、二度と決して回復しない』という発言があったわけですよね。これは取引の一手というふうに考えることはできるわけですけれども、その文明全滅発言から2週間猶予が発表され、今、仮に停戦をしようということだったわけですけれども、今朝のニュースで分かるようにイランが反感というか態度をむしろ硬化させて、平和に向けて新しい10項目の条件を以前と比べて厳しいものにグレードアップしている。
アメリカにとってこれは受け入れがたいものなので、これはまたエスカレートしていると。
脅しを呼び込んで、戦争が進化していくんじゃないかなということがあるわけですね。ですからこういう脅しというのはブーメランになって逆効果、敵対する相手の態度を固くさせてしまうということがあるわけですね。
この合意が発表された時に、これ昨日ですけどNHKのニュースサイトを見た時にトップの見出しが『停戦合意』と『株価回復』だったんですね。
それは良いことっていう風になったわけですけれども、それと対照的に感じられるのがアメリカのNPR、公共放送ですね。
すごく信頼がおけるニュースソースですけれども、その『文明全滅発言』に触れながら合意を報道するということをしていて、日本の一部のメディアではそれをずっと通過していて、なんていうか無かったことというか、それに触れずに『合意は良いこと』、『石油株価が安定した』ということだけなんですけど、それでいいのかどうかというんです」
この後もロバートさんは、「脅し」や「お世辞」をメインテーマに、ご自身のダイアリー(日常)について語っています。気になる方は、radikoのタイムフリーでご確認ください。
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