「郵便不正事件」の経験から語る、事実がないのに犯罪者扱いされる恐ろしさ
大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日11時30分~15時)、4月9日の放送に元厚生労働事務次官、現在は全国社会福祉協議会の会長を務める村木厚子が出演した。2009年に逮捕、2010年に無罪が確定となった「郵便不正事件」について振り返った。

村木厚子「(郵便不正事件で)逮捕されたのが2009年です」
大竹まこと「2010年9月の裁判で無罪が決まったと」
青木理「朝日新聞の見事なスクープでした。村木さんの事件をめぐって大阪地検特捜部でフロッピーディスクの証拠のデータを改竄(かいざん)していた、ということがわかった。検察に対する批判がすごく高まった。大きな事件でしたよね」
大竹「全体はどういう事件だったんですか?」
村木「もともとはニセの障害者団体が、郵便料金の割引制度を使って、その差額で儲けよう、という詐欺事件でした。『障害者団体です』と郵便局に持っていく証明書が要る。厚生労働省がつくったそれを彼らが持っていった。企画課長、私のハンコが押してあって。担当者が本物の障害者団体だと信じて、早く提出してあげないといけない、忙しいからと途中の手続きをスキップして。証明書をつくってハンコを押して渡してしまったんです」
大竹「うん」
村木「ただどういうわけか検察のストーリーは、障害者団体が国会議員にお願い事をして、国会議員から役所に『なんとかしてやれ』という話が来て、私の上司、私、係長、と、役所が組織でニセ団体の金儲けの手伝いをした、という構図になっていて。証明書をつくった係長と一緒に私も逮捕された」
大竹「犯行の記憶も何もない。それで拘留されることになる」
青木「全部の事件がそうではないでしょうけれど、往々にして検察も最初に『こういうストーリーだろう』と決めつける。そこに証拠や証言を合わせていく。村木さんは一貫して否認していた。身に覚えがないというか、事実がないんだから。ただ周りの人は『そのとおりです』と認めるような感じだった?」
村木「やってもいないことを認めてサインする、そんなのないだろう、と思っていたんです。でも私のとき、役所のメンバーだけだと10人が取調べを受けて。半分、5人は『村木さんが団体の人と会っていたのを見た』という調書にサインした。いろいろなテクニックがあり、彼らがプロなので。一晩でも二晩でも泊まっていくか、などと言われるわけです」
大竹「普通の人間がそう言われるだけで、ビビりますから」
村木「『同僚の○○くんはウソつきですか?』と聞かれて、そんなことありません、と答えると『彼と同じ内容の調書でいいですね。サインしてください』と言われるなど。皆、一生懸命に戦ってくれたんだとは思いますけど、半分(はサインした)」
大竹「プロの集団に素人が振り回されていく、という感じですね」
村木「密室で相手がプロで、何も知らされないまま呼び出されて。誰も応援してくれる人もいない。その中で聞かれるんですから、どんどん不安になるんです」
大竹「取調べが終わって、また拘留される。それが164日間。御本(販売中『おどろきの刑事司法 “犯罪者”の作り方』)に書いてあるように、そのとき人間的な扱いはされない」
村木「犯罪者だと思われて逮捕、拘留されるわけですから。身体検査、写真を撮る、などされて。犯罪者扱いを受けているんだ、というのは実感しますね」
青木「密室の取調べって、するほうは毎日していて、プロでしょう。されるほうは違うわけです。よくたとえられることで。プロのボクサーのリングにいきなり上げられて、セコンドもいない。それで戦え、と言われるようなもの。戦えるわけがありませんよ」
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