相次ぐ「夏の賃上げ」 物価高に対応、企業に広まる社員の生活を守る意識

相次ぐ「夏の賃上げ」 物価高に対応、企業に広まる社員の生活を守る意識

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8月29日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)は、月曜コメンテーターで経済評論家の上念司氏と寺島尚正アナウンサーが、この夏にベースアップを実施する企業が相次いでいるというニュースについて議論した。

上念氏「企業は相当前向きになっている」

今年の夏は物価高に対応しようと、基本給を大幅に引き上げるベースアップ(ベア)を実施する企業が相次いでいる。日本労働組合総連合会(連合)の最終集計によると、2022年春季の労使交渉で、ベアと定期昇給を合わせた賃上げ率は前年に比べて0.29%上昇の2.07%。夏に賃上げを実施する主要企業は、この水準を大きく上回るようだ。

ガラスメーカー大手のAGCは、7月に平均6307円のベアを実施。全職種対象のベアは2008年以来となっており、定期昇給を含まない賃上げ幅は1万2119円で、賃上げ率3.92%。住友化学も7月に平均3000円のベアを実施している。

大幅な賃上げの背景にあるのは急速な物価の上昇。総務省によると賃金の実質水準を計算する基準となる物価は、7月に前年比3.1%アップ。第一生命経済研究所は2022年度の家計負担(2人世帯以上)は年間およそ10万円増えると試算している。

寺島アナは「優秀な人材の繋ぎ止めに賃金増が必要と判断した企業もあるようなのですが、この夏にベースアップする企業が相次いでいるというニュースです。これ、上念さんいかがですか?」と、話題を振った。

上念氏は「いいことじゃないですか。モノの値段だけ上がって給料が上がらないとか断言していた方がいましたが、給料も上がり始めましたね。これは正社員のお給料ですよね。で、正社員の給料が上がるということは、その前にアルバイトの賃金が上がっているはずなんですよ。だいたい、そういう非正規雇用が雇用の調整面になっているので」と話し、その例として、人手不足感の高まりで採用に腐心している牛丼チェーン店の吉野家の都心の深夜時給を調べ、確認した。

「基本給が上がるということは、これは非常に大きな判断です。基本給は下げることができませんので、このお金は長期的に払わないといけません。だから企業も相当前向きになっていると感じますね」と上念氏。

東京証券取引所の全上場企業のうち、2022年3月期に純利益が最高益だった企業の比率は3割にのぼっている。企業の手元資金は足元で過去最高を記録しているものの、労働分配率は歴史的低水準にあり、ベアで社員の生活を守る意識が企業に広まりつつあるようだ。


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