村上信五くんと経済クン「コンニャクで出来た模擬臓器って⁉日本の町工場生まれの技術が世界の医療業界に革命を起こす!」

村上信五くんと経済クン「コンニャクで出来た模擬臓器って⁉日本の町工場生まれの技術が世界の医療業界に革命を起こす!」

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毎週土曜朝9時~放送している「村上信五くんと経済クン」。
8月26日(土)の講義は、日本の町工場生まれの技術が、医療業界に革命を起こしているという“模擬臓器”をご紹介。
その工場は、かつてミニ四駆のタイヤを中心に作っていたんですが、今、医療トレーニング用の模擬臓器をなんとコンニャクで作り、お医者さんの医療技術を向上させているといいます。
なぜその町工場は模擬臓器を作り、医療業界に進出するとうになったのか?
KOTOBUKI Medical株式会社 代表取締役 高山成一郎(たかやま・せいいちろう)さんをお迎えして、開発話や苦労話を伺いました。

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【KOTOBUKI Medicalとはどういった会社?】
手術トレーニング用の製品を開発・製造・販売している。特に力を入れているのは、コンニャクなどの植物や食品を主原料とした模擬臓器。もともとミニ四駆のタイヤを作っていたが、世の中にないけど必要なものがあって、他に作る人がいないのであれば自分で作ろう、と考えていたら模擬臓器にたどり着いた。
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【模擬臓器“VTT RBM”とは?】
VTTとは、変幻自在なトレーニング用組織、という意味。特徴は5つ。

⓵人体組織によく似たリアルな触感と強度、伸縮性
⓶電気メス、超音波凝固切開装置使用可能
⓷分岐付血管状パーツ、リンパ節状パーツが複雑に埋め込まれた構造
⓸食品レベルの衛生性、常温保存可
⓹一般ごみ(生ごみ)として廃棄可能

臓器の中に血管が走っていて、リンパ節などが入っているため、肺の中などをイメージして使われることが多い。
青いのが静脈、赤いのが動脈、青い球体がリンパ節。実際の手術は縫ったりするよりも、切ったり剥離したり掘り当てることが多いので、その練習として使ってもらいたい。
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【実際にメスで模擬臓器を切った村上さんのリポート】
「人の皮膚ってこんな感じなんや。こんなスーって。でもなんか中でプツプツってしたなぁ。入れすぎたんやなぁ。でもギリギリセーフなのか。切ったことないから深さが分からんなぁ。なんともいえへん弾力。リンパ節取り出した。感触はコンニャクとゼリーの間のような。グミみたいにプルンとしてるわけでもないし。絶妙や。」
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【今、医療現場では…】
手術の練習では本物を使えないので、縫ったりするのは本物の針と糸でする。切ったり剥離したりという練習はなかなか機会がない。VRなどもあるが、感触として手に伝わってこないため、リアルな感覚に近い模擬臓器が求められている。
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【コンニャクの模擬臓器ができるまで】
材料にコンニャクを選んだ理由としては、シリコンや合成樹脂はすでに他の会社が取り組んでいたので、まったく違うアプローチにしようと思った。安いほうが良いということだったので、色々な食べ物で試して、コンニャクが一番電気メスの切れ味が良いとのことだったのでコンニャクから入った。開発には1~2年かかった。試作で1000~2000パターン作った。血管の強度なども、お医者さんたちに試してもらって意見を聞きつつ、なるべく近づけて作ってきた。
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【開発する上で一番大変だったことは】
参考にできる例がなかったので、とにかく思いついたことをやってみた。うまくいかないことも続いたが、諦めなければ本物の臓器っぽくなってきた。
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【世界にも進出!】
この模擬臓器の売り上げ自体は国内が半分、海外が半分。海外は主にアメリカ、他にもアジア各国やヨーロッパにも出している。
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【値段は?】
ひとつ数千円。本当に肺や肝臓の形をしているものはひとつ数万円。
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【工場について】
高山さんのおじい様が足立区で町工場を興し、その工場でお父様も働いていたが、高山さんが10歳の時、今から45年ほど前に独立して埼玉県で工場を開いた。ミニ四駆のタイヤや競技用のラジコンカーのタイヤなどを主に作っていた。大学2年生の時にお父様が倒れたため、大学を中退して工場に入った。37歳の時に高山さんが社長に就任。しばらくは上手くいっていたが、リーマンショックで仕事が半分になった。その時、下請け仕事をしてきたのは自分だし、それが嫌なら自社商品を作って売ろう、と考えた。色々試したが、たまたま幼馴染が医療機器メーカーに勤めていて、腹腔鏡手術が増える中、その練習道具がなくて困っているお医者さんが多いという話を聞いて医療機器業界に参入。「この値段でこういうものが作れるのなら良いね」と好評だったため、どんどん手術トレーニングの事業を膨らませた。
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【自社製品・自社ブランドを起こす上で気を付けることは?】
自分が得意なことをやるよりも、まずは他の人がやっていないか。必要なのにまだこの世の中に足りないものはなんだろうとずっと考えていた。誰もやっていなければ、もともと自分が専門外だったとしても、その分野のトップランナーになれるのではないか。「誰もやっていないこと」を一生懸命考えることが大切。
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【今後の目標は?】
自分たちが作った模擬臓器が普及して、世界中でお医者さんたちが「若い時はKOTOBUKIの模擬臓器でよく練習したよな」と言われるようになりたい。
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「誰もやっていないことを探してその分野のトップランナーを目指す」というお話がすごく印象に残りました。私も収録後、模擬臓器にメスを入れさせて頂きましたが…村上さんのリポート通り、本当に不思議な感触でした。医療技術は世界共通だと思いますので、日本から世界へ!今後のさらなる発展が楽しみです。
坂口愛美

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「経済初心者」の村上信五が、ゲストの方に教えを請いながら 「お金」に強くなってゆく番組です。 「お金持ち」しか持っていない情報を イチ早く皆さんに提供できるよ…

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