朝井リョウ『何者』に中元「幅広い人が共感できる作品」

朝井リョウ『何者』に中元「幅広い人が共感できる作品」

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『中元日芽香の「な」』が、11月20日(月)午前7時に更新され、「日芽香セレクション」のコーナーで中元が触れた映画や本、漫画から生き方や考え方、カウンセリングのヒントになるかもという作品について紹介した。

今回、中元が紹介したのは、朝井リョウ原作の『何者』という映画。映画の公開は2016年10月15日。監督脚本は三浦大輔。原作は、直木賞の受賞作となっている。

映画のあらすじは「就職活動を通して自分が「何者」であるかを模索する若者たちの姿を、描く青春映画。ある目的を持ち集まった5人。それは就活。主人公拓人もまたそんな5人のうちの1人だった。日々終活に追われるあまり、次第に周りが見えなくなる。そんな彼らの逃げ道の一つとして使われるのがSNS。情報を収集し発散させる。そうやって何かを得ようとしていた。しかし、それは時に情報となり、凶器となり、疑問へと変わる」というもの。就職活動がテーマとなっているこの映画を見た中元は次のように『何者』について語った。

中元「今まさに就活中だよという方とか、これから就活を控えている学生さんもいらっしゃるかと思いますが、それだけでなく幅広い人が共感できる作品だと私は思いました。これまで「日芽香セレクション」で紹介してきた映画というと、カウンセリングの場面が実際に登場したりとか、感情がメインテーマになっているアニメ映画だったりとかを選んできたんですが、今回はそれほど心理学っていう色が強いわけではありません。もっと身近なというか、このテーマを見て私は表の顔と裏の顔っていう言葉がまず浮かびました。人はいくつもの顔を持っているものなんですよね。友達といる時の自分。面接の時のスーツを着た自分。SNSで見せる充実した生活を送る自分。どれも嘘ではないんだけれど、ちょっと飾ったりとか、汚い本音は別の言葉に言い換えたりとかしていて。直接的な言葉で書いてなかったりするのがSNSだったり、友達との会話だったりしますよね。裏の顔というか、本物の自分ってどういう人間だっけなっていうのが分からなくなる時ってありませんか。まさにそんな葛藤がこの映画では表現されています。作中で5人の若者が集まってエントリーシートの準備や情報収集をやっているんですけれど、自分はこの5人の中で誰と性格が近いかなって考えるのも面白そうだなと思いました。冷静で常に周りを分析していて、冷めた目で世の中を見ていると自分でも思っているタイプ。これが主人公なんですけれども、実は主人公の中でもすごい熱い部分があったりして、その葛藤みたいなものが描かれていたりとか、他には素直で周りの個性を純粋に認めることができて、理想を追いかけている人っていいなって思いながらも、それがなかなかできない現実的な条件とか自分自身の置かれた環境を大事にするタイプとか、常に華やかなところをみんなに見せていないと自分を保てないんだっていうタイプとか。すごく個性的というか、でもいそうというか、要素はちょっと自分にもあるかもっていうような5人なんですけれど、私自身は誰に1番近いんだろうなって考えて、20代前半の私はちょっとご主人公の生き方というか、考え方かに少し似ていたかもしれないけれど、今はそうでもない気がするので、難しいですね。みんなそれぞれ自分が持っているカードというか、アピールできる部分をしっかり見つめている一方で、諦めたりとか妥協したりとかしながらも自分っていう人間と向き合って戦っている姿が描かれています」

『中元日芽香の「な」』は毎週月曜日午前7時に、Podcastにて更新中。
「過去の配信分もこちらから聴けます」

 

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中元日芽香の「な」

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