【箱根駅伝】神奈川大学 「犠牲」と「貢献」の狭間で

【箱根駅伝】神奈川大学 「犠牲」と「貢献」の狭間で

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神奈川大学取材レポート

取材席上、ひな壇に並んだ選手が一人一人この大会に対する意気込みと、走りたい希望区間を発表する。
4年生佐々木亮輔選手が、「希望区間は10区」と口にしたとき、名将大後栄治監督が、佐々木の方を振り返り、苦笑いの表情を浮かべる。

2年ぶりの箱根駅伝となる神奈川大学。4年生の佐々木は1年生時10区で区間2位の好成績を収めている。経験則を重視すれば当然10区を志望するだろう。
しかし「佐々木は復路の重要区間である9区に配置する。自分が走りたい区間を走れればベストですが、駅伝はそういうわけにはいかない。本人もわかっているはず」 と大後監督はいう。

「駅伝チームって、利他的集団主義でなければいいチームにならないという原則で長年指導してきた でも私なりの勉強ですが、今の学生はいわゆる利己的個人主義です 何とかしてねこれを利己的集団主義にとどめなければならないのです。利己的っていうことをちゃんと認めてやらないといけないんですね」
日体大学生時代の第58回大会から箱根駅伝に携わっている名将大後監督の言葉である。
「今までの指導の経験則が当てはまらない今年のチームだった」とも。
全体ミーティングもやらないそうだ。逆に選手と1対1の対話を増やし、その中で自分たちの「チーム」ってどういうことなのかを問いかけてきた。
「チームのために自分が何か犠牲になるってことに対するアレルギーが今の選手はすごく強い だからそれは犠牲じゃない 貢献なんだってことを理解させることがどうしても必要です」
その指導の結果が2大会ぶりの箱根本大会出場につながった。

さてその後、件の佐々木選手に話をきいた。
「僕は9区を走るつもりです そのつもりでコースを見たり準備しています
さっき希望は10区って言ったのは、あまり今の段階で(戦略上)ホントのこといわないほうがいいかと思って(笑)」

大丈夫、若者の成長は想像以上に早いのだ。

取材:長谷川太

練習を見つめる大後栄治監督
2大会ぶりに箱根路に挑む神奈川大学
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