台湾東部沖地震…旧耐震基準の古い建物が倒壊、中林一樹・都立大名誉教授に訊く

台湾東部沖地震…旧耐震基準の古い建物が倒壊、中林一樹・都立大名誉教授に訊く

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毎週日曜朝5時5分からお送りしている「防災アワー」
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日本時間の4月3日午前9時頃、台湾東部沖を震源とするM(マグニチュード)7.7の地震が発生。最大震度6強を観測した花蓮県を中心に7日現在、13人の死亡が確認され、行方不明者6人の捜索が続けられています。

4日(木)東京都立大学名誉教授で「防災アワー」でもおなじみの中林一樹さんに今回の台湾東部沖地震について伺いました。
中林先生は1999年2400人以上が亡くなった台湾大震災以来、10年間20回以上台湾を訪れ、復旧復興の支援をされてきました。

Q 今回の地震とは?
A 台湾は東側がすぐ太平洋で、フイリピン海プレートが台湾に向かって東から西に押し込んできている。そのプレートが下に潜り込んでいく中で、台湾や日本列島の西が乗っているユーラシアプレートが持ち上げられている。そのユーラシアプレートの中で起きた地震だろう。活断層の直下型地震というよりもプレート境界型地震に近いタイプ。
 今回はM7.7と言われているが関東大震災(M7.9)の半分くらい(注・Mは1違うと32倍、2違うと100倍、0.2違うとおよそ2倍)。
1999年に起きた台湾大震災(921大震災)は、台湾の西側で起きた地震。台湾のちょうど真ん中を通っているいくつかの断層の一つ「シャーロンプー断層」が動いた。M7.3で阪神淡路大震災と同じ規模。これは大都市直下型の地震で、震源の真上は阪神淡路大震災と同じように人口密集地で多くの建物が建っていた為、今回に比べると被害が極端に多く、2400人以上が亡くなった。

Q 被害について
A これまでの情報だと死者不明者20人前後、けが人が1000人以上という規模。台湾の東側は、道路が海岸の近くで急峻な山の崖を削るような形で作られている。能登の海岸の道路と同じような作り方だが、そこで土砂災害や山崩れで車やバスが巻き込まれたようだ。

Q ビルが倒壊したが?
A 基本的には古いビル。1999年の大地震のあと、台湾は耐震基準を強化したが、それ以前に建った古いビルが今回壊れた
 旧耐震基準で作られたビルが壊れている。日本でも同じ状況が発生している。

Q 今やらなければならないことは?
A 先ずは、救出救助。

Q 輪島のような火災は発生していないが?
A ほとんどが鉄筋コンクリートの建物。もともと燃えにくい建物が多い。

Q 復旧復興は?
A 「ビルの再建」が復興の課題かと。おそらく公費解体処理をして再建へということになる。ビルによってワンオ-ナーのビルもあれば、分譲型のマンション(区分所有ビル)もある。区分所有だと合意の形成が日本と同じように難しい。1999年の大震災の際は「復興基金」というものを作って再建した。「復興基金会」が、権利を売るという区分所有者から買い取って、合意を取りつけ、新しいマンションを再建し売りに出した。その支援方法を国が認めるようになってから一気に建て替えが進んだ。

Q「地方都市」ということで、能登との共通点も?
Ą 台北や台中、高雄などの大都市はビルの建て替えが進むが、地方都市はなかなか進まない
日本にしても輪島や七尾はそれほど建て替えが進んでいない。どうしても旧耐震の建物が多い。今回強く揺れた市街地が花蓮で、その他は山間部。被災地全体の居住人口が少ないと、その分古い建物が多い。能登の地震と同じように大都市以外で地震が起きると、やはり耐震性の問題で建物が壊れて、それによって人が亡くなったりケガをする。

以上インタビューの概要です。

日本でも3日与那国町で震度4を観測。一時「津波警報」が発表され、与那国島久部良(くぶら)や石垣島石垣港で津波が観測されました。
(↓ 気象庁で行われた緊急会見)

気象庁では地震発生から1週間程度、同じ程度の地震に注意し、海底で規模の大きな地震が発生した場合、津波にも注意するよう呼びかけています。

きょうの「防災アワー」は、先月秋葉原の高架下で行われた防災イベントをご紹介しました。
これはJR東日本都市開発が運営する「キャンプ練習場campass」1周年を記念して行われた「キャンプ×防災~もしもに備える2日間~」です。
キャンプ自体がライフラインが限られた中で生活するという野外活動で、防災には親和性が高いということです。
高架下に、火起こしや防災食など様々なコーナーが展開され、揺れを体験できる起震車なども設置されていました。

「コールマン」のコーナーには大きなテントの中に、様々なおしゃれなランタンが展示されていました。コールマンでは能登半島地震の被災地に寝袋やマットなどを提供しています。

火起こしに挑戦というコーナーもありました。




聞き逃した方はぜひradikoでお聞きください。
いつどこで起きるかわからない地震、備えは進めておきたいものですね。

来週14日も「キャンプ×防災」イベントについてお送りします。

気象予報士・防災士 都庁・気象庁担当記者 伊藤佳子



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