『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    50歳以下でも使いやすくなった「マイホーム借上げ制度」

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    50歳以下でも使いやすくなった「マイホーム借上げ制度」

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情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。

この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2024」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。

今回は、2024年の5月から、より使いやすくなった「マイホーム借上げ制度」についてのお話です。

最初は「50歳以上」か「長期優良住宅」が条件だった
これまで、移住・住みかえ支援機構の「マイホーム借上げ制度」をご利用いただけるのは、原則として50歳以上の方ということになっていました。でも2024年の5月から、50歳未満の方にも使いやすくなったんです。
この制度は、もともとはシニアの住み替え支援ということでスタートしました。ちょうど団塊の世代が60歳くらいになって、次は70歳ということで、ライフチェンジがあるだろうということで、まず厚生労働省が割と頑張る感じだったんですけど、家のことなので国土交通省も関係していました。もともと「長期優良住宅」という長く持てるいい住宅を買われた方には、年齢制限せずに受け入れていました。「いい家を買ってもらいたい」という狙いがあったのでOKだったんです。制度ができてしばらくは「50歳以上」か「長期優良住宅」か、この2つしかなかったんです。

50歳以下でも「転勤」はOK
その間、もう20年近くになるのでいろいろなことがありました。
中でも大きいのが「転勤」です。やっぱり会社から転勤を言われたら行かざるを得ないですよね。最近でこそNOって言えるとかって話になってますけど。家を買った直後に転勤を言い渡される…これがやっぱりかわいそうなので、なんとかしたかったのですが、基金って条件が厳しくて。それで、海外赴任だけOKにしてもらってたんです。
でも今回、国内転勤の50歳以下の方も受け入れることができるようになりました。

ひとりひとりの事情に寄り添う
時代がホントに変わってきて、住み替えの事情も千差万別になってきました。一つのところにずっと勤めるわけでもない時代です。また住み替えは地方の活性化にもすごく役に立ちます。期限付きで移住する人も増えています。それから売りたくても、転勤のタイミングが市場の一番いいときとは限らないですよね。売るのには時間がかかるということもあります。要するに転勤というのは自分で決めることじゃないので、そういうやむを得ない事情があるときは借上げ制度の利用が可能になりました。転職も同じです。

「介護」住み替えにも対応
それから家族介護で動かれる方も増えています。これはヤングケアラーというほど若くなくても、30代で親の所へ動かざるを得ないけれど、介護が終われば戻ってこられるというケース。これまでも受け入れたかったのですが、なかなかできなかったのを、今回OKということになりました。

「離婚」が理由の住み替えも…
それから、案外多いのが離婚です。夫婦どっちもその家に住みたくないけど、売るのももったいないし、子どもがいればいずれ住むかもしれないと考えることもありますよね。
そうでなくても、まだローン借りていると返しきれるとも限らなくて、あまつさえそんなに楽しいことじゃないのに、そういうことだから協力してやりましょう…ってことにもならないんです。それで、JTIが借りて家賃でローン返しながら…というようなケースも少なくありません。

「相続した空き家」じゃなくても大丈夫
空き家もこれまでは「相続の空き家」だけ受け入れていました。でも相続しなくても持っていた家が空くことはいろいろあります。とにかく空き家になってたら借りますよ、ということになりました。
最近は家がめちゃくちゃ高くなっているので、前に比べると「借りたいです」という問い合わせも多くなってきているんです。ただ家を賃貸に出すと一言でいっても、これは大変な手間がかかるんです。一生に一回だけ、素人だけど貸さなきゃいけない…っていうパターンのときは、おそらくJTIに持ってきていただくのが一番楽だと思います。

NGなのは「運用」パターン
とにかく、これからは、家を貸したくなるような状況であればだいたい対応できると思います。ただ、運用するためにわざわざ家を買う方がかなりの数いらして、それだけは対応できません。それをパッケージにしている業者さんもいます。そこはお断りせざるを得ないですけど、ちゃんと理由があって来られている方には、事情を伺ったうえで借上げさせていただいています。家を貸さなければならない事情が生まれたら、ぜひお気軽にお問い合わせいただければと思います。

大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。

第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。

東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』『生きづらい時代のキャリアデザインの教科書』など。

家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。

※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください

お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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