紀州ドン・ファン事件 「法治国家は冤罪を減らす方向へ行かざるを得ない」
寺島尚正アナウンサーがパーソナリティを務めるラジオ番組『おはよう寺ちゃん』(文化放送・月曜日~金曜日 午前5時00分~9時00分)が12月13日に放送。金曜コメンテーターで郵便学者の内藤陽介氏が、いわゆる紀州ドン・ファン事件について意見を述べた。
やっぱりちゃんと証拠なりがないと…
寺島アナ「和歌山県田辺市の資産家で「紀州のドン・ファン」と呼ばれた会社経営者野崎幸助さんを殺害したとして、殺人罪などに問われた元妻、須藤早貴被告の裁判員裁判の判決で、和歌山地裁は無罪を言い渡しました。須藤被告は18年5月、野崎さん宅で、野崎さんに何らかの方法で致死量の覚醒剤を飲ませて殺害したとして21年5月に起訴されました。被告と殺害を結びつける直接証拠はなかったんですが、検察側は公判で、被告には、野崎さんの莫大な遺産を得るという動機があり、覚せい剤を口から摂取させる「完全犯罪」で殺害したと主張しました。判決は須藤被告が18年4月に覚醒剤のようなものを入手するなど、殺害を「疑わせる事情」があったと認めましたが、それらの事情から「ただちに野崎さんに覚醒剤を摂取させたとまで推認できない」と判断。野崎さんが覚醒剤を誤って過剰摂取した可能性もないとは言い切れず、殺害したとするには検察側の立証が不十分だと結論づけました。今回のように自白や目撃証言といった直接証拠がない事件の裁判、「絶対的な犯人性」を明らかにする必要があり、有罪判断のハードルが高くなるということですが、内藤さんこれはどう受け止めますか」
内藤「こういう言い方をしたら怒られるかもしれないですけど、仕方ないでしょうね。やっぱりちゃんと証拠なり、なんなりがないと。内心では、そうじゃないの? と思ってたとしても、やっぱりダメですよ。しょうがないですよ。かつて台湾で戒厳令をした時の蒋介石が、99人を冤罪にしても1人の犯人を捕まえるんだ、みたいなことをやりましたが、それではまずいでしょう。法治国家は冤罪を減らすという方向へ行かざるを得ないですから。だから逆に言うと、本当にこの人が犯人であるというのであれば、検察側にはきちんと立証していただきたいですね。新たな証拠なり何なりを持ってきて。その辺を慎重にやらないと、つい最近も袴田さんの冤罪事件が話題になりましたが、人間のやることなんて絶対に間違いは避けられないですから、気分的にはモヤッとしますが、しょうがないでしょう」
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