
郵政民営化したのに国から650億円交付の案。どうしてそうなる?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時30分~17時、火~金曜日15時30分~17時35分)、5月12日の放送にジャーナリストの二木啓孝が出演。郵政民営化の可決、成立から20年経ついま、郵便ネットワーク維持のため年間650億円ほどを交付する案が持ち上がるなどしている、日本の郵便事情について解説した。
長野智子「“郵政選挙”から20年なんですね」
二木啓孝「当時、総理だった小泉(純一郎)さんに時々会っていてね。どういう戦略ですか、たいへんな抵抗がありますよと言ったら『やってみなければわからない』。自民党が悪いのは旧田中派だ、と。これをぶっ潰すんだ、と。それで押し切って衆議院を通って参議院で否決されたら衆議院を解散してしまった。無茶苦茶でしたね」
長野「小泉さんは昔、郵政大臣も務めていて。総理になったら(民営化を)絶対やる、と。いまの話だとそれほど戦略がなかった、と思えます」
二木「あのとき反対した自民党議員に刺客を立てて。取材はおもしろかったけど、これでいいの、みたいなね。郵政が民営化された。それがだんだん、だんだん、おかしくなっていない? という話です。簡単にいえば、郵便局を支えるために650億円を交付しようじゃないか、という話が自民党から出てきた。なんで民営化したのに国が支えるの、という話です」
長野「650億円はどこから出るんですか」
二木「それがおもしろいからくりで。よく考えているんだ。まず20年で郵政を取り囲む条件がものすごく変わった、ということがあります。キーワードでいうとメール、宅配便の普及、人口減の過疎化、人員削減、コンビニ。最近、手紙を出したことあります? 私は去年、賀状じまいをしました」
長野「必要書類を送る、みたいな感じです。それに使うことはあるけれど」
鈴木純子(文化放送アナウンサー)「私もめったに出さなくなりましたね」
二木「手紙のラブレターというのも昔ですね。どんどん変わってきた。現状、皆さんの近くの郵便局、24000局あるんです。多いし、使えば便利です。郵便ポストは全国に17万5000個。行政的な事務書類しか送らなくてもポストに入れると思う。そのポストの中で、去年、日本郵政が調べたところ1ヶ月あたりの投函数、ハガキと封書が投げられる数は、ポストの25%が1ヶ月で30通以下。つまり1日1通に満たないの」
長野「ああ……。でもそんな感じかしら」
二木「郵便局の人は1日1通でも集配しないといけない。20年経って郵便物って4割減った。ところが維持するために去年、年間947億円の赤字が出てきている。土曜日の配達はお休みになり、ゆうパックなどは翌日配達を廃止しました。それで去年10月、郵便の封書が84円から110円、ハガキが63円から85円に。高いですよ。配達をやめたり切手代を上げたりしても焼け石に水、という状態です」
長野「うん……」
二木「民営だから効率よくやらなければいけない。だんだん人員が減らされてくる。それで何が起きているかというと、ニュースになっていて皆さんびっくりだと思いますが、郵便配達の人がお酒を飲んで酔っ払って配達していた、ということがあった。どういうことかと日本郵便が抜き打ちで全国3200ぐらいの郵便局を調べた。すると毎朝の法定点呼、『きょうの業務をします。酒気帯び確認でハーッとしてください』というのをしていなかったのが7割だった、というわけですね。そのための人員だっていないんです」
このあとは改正案にある650億円の出どころの詳細、海外の郵便事情などについても二木が解説した。詳しくはradikoのタイムフリー機能で確認してほしい。
「長野智子アップデート」は毎週月曜午後3時30分~5時、火曜~金曜午後3時30分~5時35分、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
※タイムフリーは1週間限定コンテンツです。
※他エリアの放送を聴くにはプレミアム会員になる必要があります。
関連記事
この記事の番組情報
