
中国の戦略、アメリカの想定外。米中の貿易戦争の水面下で行われていたこと
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時30分~17時、火~金曜日15時30分~17時35分)、6月12日の放送にキヤノングローバル戦略研究所主任研究員・峯村健司が出演。アメリカで取材した情報をもとに、昨今の米中関係について解説した。
長野智子「峯村さんはアメリカ・ワシントンD.C.で実際にいろいろな方とお会いしたと思います。印象的な意見交換などはありましたか?」
峯村健司「米中の貿易戦争がけっこうひどいときでした。向こうで話を聞いてみたら、やはりアメリカと中国が水面下では交渉を始めていた、ということがわかったんです。4月20日ごろから秘密交渉が行われ、5月のスイスの会談に結びついた、というところです」
長野「145%から115%も引き下げたんですよね」
峯村「いままでなんだったんだ、みたいな。聞けばトランプ政権も最初のころは相当、ファイティングポーズで。中国と全面的に争おうと思ったら逆襲されて。100%以上の関税をかければ、いま彼らが危ない、中国経済が良くないから、ひれ伏してくる。そう思ったら、どんどん報復されてしまったと。中でもいちばん痛かったのはレアアースです。この7種を止められてしまったことに対し、アメリカは想定していなかったらしくて」
長野「ええ……?」
峯村「7種のほとんどを中国が独占しているものだったんです。中国は着々と進めてきて、逆にアメリカは返り討ちに遭ってしまった。最初は強気だったのが『やっぱりごめん、話をしよう』と。計算してやっているのかと思ったら、していなかったんですね」
長野「トランプさんが就任する前から、中国はアメリカの国債を買い増しているなど、戦略的なところもさすが」
峯村「特にいまの習近平政権になり、そういう戦略を練っていまして。2018年の第1次トランプ政権のときに冒険戦争をしましたね。これはまずい、と目覚めて。着々と準備をしてきた中のひとつがレアアースなんです。日本から見れば『そうだよね』という話で」
長野「なんで想定外なの、と」
峯村「日本も2010年の尖閣沖の漁船衝突事故のとき、レアアースを止められた、というのがあった。そこを見ていればわかったはずなんですけどダメだった」
長野「データもいつもガタガタで。アメリカはノリ、勢いでいろいろなことを言っている?」
峯村「もともと100ぐらいで中国が折れるだろうと思って、アメリカはそこまでしか用意していなかった。どんどん反撃してくるので145まで『上げちゃった』ということらしいです。やりすぎたね、と思った。場当たりといえば場当たりですね」
長野「関係者というかスタッフというか、どういう反応をしているんですか?」
峯村「まず皆、忙しかった。まだ政権が発足して間もないので。幹部の人事は議会の承認が要るんですね。それがほとんど埋まっていない。日本でいうと局長級がいない状況で。大臣と下のほうの課長だけで動いているような。グチャグチャになっていて。そこも想定している人はいたかもしれないけど、意思疎通がうまくいかないまま中国と争っていた。ところが中国側は万全に準備していて返り討ちを浴びてしまった、というような流れです」
「長野智子アップデート」は毎週月曜~金曜の午後3時30分~5時、文化放送(FM91.6MHz、 AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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