それでもやっぱり、家で死にたい。上野千鶴子さんの「おひとりさま」シリーズ、最新刊を語る(後編)(おとなライフ・アカデミーWEB)

それでもやっぱり、家で死にたい。上野千鶴子さんの「おひとりさま」シリーズ、最新刊を語る(後編)(おとなライフ・アカデミーWEB)

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今を楽しく生きるオトナ世代のための情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」。
残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、暮らしにまつわる様々な事柄を語り合います。

2021年5月1日の放送は、ゲストに社会学者の上野千鶴子先生をお招きしました。ラジオの内容を前・後編の記事にまとめてお送りします。

今年1月に発売された『在宅ひとり死のススメ』がベストセラーとなっている上野さん。

一人暮らしでも、認知症リスクを抱えても、病気があっても、家で死ぬにはどうすればいいのか――。一人暮らしで楽しい老後を送る方々が増えてきた時代だからこそ気になるテーマです。

執筆の背景などについて、詳しくうかがいました。
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上野千鶴子さん
社会学者、東京大学名誉教授、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。
1948年、富山県生まれ。女性学、ジェンダー研究のパイオニア。現在は高齢者の介護とケアの問題について研究している。
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介護のために転職を経験した大垣さんですが・・・

大垣 私は最近、娘と話していると「お父さんが認知症になったら・・・」と言われてしまうことがあって(笑)。

私自身も昨年還暦を迎えたこともあり、徐々に老後のことを考えるようになってきているんです。

上野 大垣さんは、最期を迎える場所って考えておられるんですか?

大垣 そうですね・・・。僕は、祖母の介護を20年ほどしていたのですが、それなりに大変だったんですよね。なので、ああいうことを子供にさせたくはないな、と思っています。

祖父の寺があるので、そこに入ってしまいたい・・・なんて思うんですけどね。迷惑をかけないで、猫みたいに。

上野 それは、男性の持つ、ソローの森の家みたいな妄想ですよ。

残間 男の人って60歳を過ぎた頃から「湖畔に丸太小屋を建てて」みたいな、ソロー的生活が好きですよね(笑)。

大垣 すみません(笑)。

上野 人間、そんなにコロリと死ねませんから。色々な方から支えていただいて、ゆっくり死ぬんです。介護認定を受けて、介護保険も医療保険も使って、訪問医も、訪問看護師も、訪問介護職にも入っていただいて。

大垣 そうですね。

介護保険制度が始まる前の介護は、大変すぎて転職を決意するほどだった

上野 大垣さんは、おばあさまを看取られたそうですが、それは介護保険制度が始まるよりも前ですか。

大垣 ほとんどそうでしたね。最後の期間に制度が始まりました。

上野 ああ、そうでしたか。介護保険の前は、ご家族のご負担は大変なものだったと思います。

大垣 そうですね。実は、私はこの時期に外資系の企業に転職したのですが、その一番の理由は介護のためでしたね。銀行に勤めていると、お金が足りなくなっても、貸してはくれても、貰えないんですよ(笑)。このままだと破綻するなと思って。

上野 じゃあ、祖母の介護が孫の人生を変えたんですね。

大垣 結果的に、転職したのは私の人生にとっても良いことだったんですよ。祖母のおかげですね。

子供が自分の介護をすること、どう思う?

上野 大垣さんは、「介護は大変だった」という思いがあるからこそ、自分の子供には自分の介護をさせたくないと考えるんですよね。

大垣 そうですね。意識がある間はやっぱり、「悪いね」って思ってしまうだろうな。朦朧として、何が何やら分からなくなってしまえばもう、どんどん介護してくれたらいいと思うんですけど(笑)。

子供はやっぱり、何歳になっても自分の子供なので。

上野 そういうふうに考えられている方は多いですが、私はやっぱり「皆さんが人生で一番エネルギーとお金と時間を使ったのは何ですか」と言いたいですね。それは子育てでしょうと。それなら子どもに少々の負担をかけてもいい。背負いきれないほどの負担でなく、背負える程度のほどほどの負担をかけたらいいんです。

家族のお見送りをしたあとに「ちゃんと看れてよかったね、でも、肩の荷が降りたね」と、達成感と解放感、両方の気持ちを子供が味わえるんだから、子どもに介護をさせてもよいじゃないか、と私は思いますよ。

だから大垣さんも、ひっくり返ってオムツ替えてもらう姿を子供に見せて、「こうやって人間は死んでいくんだよ」っていうのをお見せになればいいんです。

大垣 うーん・・・(笑)。

「親のシモの世話は嫌じゃなかった」と残間さん

残間 私、親のシモの世話は、イヤとは思わなかったですね。

上野 残間さんは、おやりになったんだ。

残間 はい。始まる前は怖かったですけどね。ある日突然でした。
母にシャワーを浴びさせていたら、私の頭に、お湯と一緒に別のもの……つまり排泄物ですが……降ってきて。それで、覚悟が決まりましたね。「あ、こんなもんなのか」と思って。そこからは全く平気になりました。

上野 残間さん、よくおやりになりましたよ。

残間 いやいや。それは、「私のオムツもこうして替えてくれたんだな」と、実感としてそのとき感じましたから。

上野 でも、うんこの量と質が違いますからね。

残間 (笑)。まあ、そうですね。

どこまで介護をするのか、ラインをきちんと決めておくことが重要

上野 排泄に関しては、介護職の方に入っていただくこともできます。

残間 97歳まで家でみていましたが、他人に対して羞恥心が強くて難しかったです。

上野 介護をするにしても、背負える程度の負担をするというのが大事だと思いますよ。それから家族の役割は、重要なときの意思決定と。

現場は介護職の方に任せるにしても任せないにしても、意思決定は家族が迷いながらする、そしてその決定について責任を負う。それぐらいはやってもらいたいですよね。

大垣 そうですね。

上野さんの次なるテーマは、「要介護高齢者」

残間 さて、上野さん。『おひとりさまの老後』『男おひとりさま道』『おひとりさまの最期』、そして『在宅ひとり死』という道のりを辿ってきた「おひとりさまシリーズ」ですが、次はどんなテーマを考えておられるんですか。

上野 次はやっぱり、「目指せ!要介護高齢者」です。

大垣 (笑)。

上野 私はまだ要介護当事者じゃないんですね。だから、要介護認定を受けて、利用の当事者になったら「言うたるで〜」って(笑)。

残間 楽しみにしております。

鈴木 本日は、社会学者の上野千鶴子さんをゲストにお呼びしました。上野さん、ありがとうございました。

上野 ありがとうございました。

前編はこちらから。
それでもやっぱり、家で死にたい。上野千鶴子さんの「おひとりさま」シリーズ、最新刊を語る(おとなライフ・アカデミーWEB)

ベストセラーの『在宅ひとり死のススメ』、絶賛発売中です

上野千鶴子さんの「おひとりさま」シリーズ最新刊『在宅ひとり死のススメ』が、文春新書から、税込定価880円で発売しています。

電子版も各書店サイトで好評販売中。
書店でも手に取ってご覧ください。

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