
【アナコラム】坂口愛美「出たとこ勝負!一期一会の出前天気予報」
文化放送メールマガジン(毎週金曜日配信)にて連載中の「アナウンサーコラム」。週替わりで文化放送アナウンサーがコラムを担当しています。この記事では全文をご紹介!
▼7月18日配信号 担当
坂口愛美アナウンサー
出前天気予報をやっていると、本当に一期一会だなと感じます。
だいたい中継先で1人か2人にインタビューをするのですが、事前にアポをとることはなく、その時通りかかった人に声をかけることがほとんどです。
なぜかというと、いつ中継が来るか分からないから。また、天気予報だけでスタジオと話が盛り上がった場合、時間がなくなって話を聞けないこともあります。朝の忙しい時間帯に足止めするのは申し訳ないですし、突然話を聞いた方が自然で面白い答えが返ってくることが多いので、いつでもどこでも出たとこ勝負です。
天気予報を伝え終わって、中継先の描写などをしながら、必死で答えてもらえそうな人を探します。1年間毎日中継をしているうちに、答えてもらえそうかどうか、声をかける前にだいたい分かるようになってきました。この人だ!と狙いを定めて声をかけます。
人通りが少ない時は「たぶん答えてもらえないな」と思いながら、ダメ元で声をかけることもありますが…。朝の忙しい時間帯に突然声をかけるのは申し訳ないと感じつつも、答えてもらえて、なおかつ予想外の答えが返ってきた時はものすごく嬉しくなります。
6月24日は、その日のゲスト・川井郁子さんの出身校である東京芸術大学から中継しました。
続々と学生さんが学校に入っていく中で、「この人に話を聞いてみたい!」と直感で思った女性にマイクを向けてみると、日本画を専攻している博士後期課程の学生さんでした。人物と植物などのモチーフを組み合わせて和紙に書いているとのこと。「将来は自分の作品を個展でたくさん展示したい。自分のやりたいコンセプトで、技術を高めて良い展覧会をしていきたい」と将来の夢を語ってくださいました。お名前も伺ったので、中継後調べてみると…すでに絵の販売もしているすごい方でした!将来貴重な音源になるかも!?
声をかけたのはたまたまですが、これもご縁ですので、勝手ながら活動を追いかけて応援させて頂きたいと思っています。
そして7月8日は入谷朝顔まつりの会場から中継したのですが、ちょうど天気予報を伝え終わったタイミングで、鉢植えを持って歩いている女性が目の前を通ったのでインタビューしてみました。毎年朝顔を買いに来ているというその女性。今年の鉢植えは何が決め手で購入したのか聞いてみると、「団十郎だから」とのこと。ただ、団十郎の特徴を聞いてみると「そういうのはよく分からないんですけど、あぁ、団十郎ねと思って買った」とおっしゃっていました。
それを聞くと、私も団十郎が気になって仕方がなくなり…お店の方に聞いてみると、「市川團十郎さんの着物の色に似ていたから名付けられた」など諸説あるとのこと。確かに、着物のような絞りが入った柿渋色の大輪の朝顔が美しくて…思わず私も買って帰ってきてしまいました!
それから毎日水やりをしてベランダで育てているのですが、朝弱い私でも、毎朝起きるのが楽しみになりました!
「きのう大きくなっていた蕾はきょう咲いているかな」「きょうは何輪咲いているかな」「きょうは何色の花が多いかな」など、ベランダを覗くのが楽しくて仕方がないのです。と同時に、夏休み、毎日朝顔の観察日記をつけていた小学生の頃を思い出し、懐かしい気分も味わえました。
インタビューした方の「団十郎だから買ったけど、団十郎が何かはわからない」という言葉がなければ、きっと朝顔を育てることはなかったと思います。
どこで、誰にどんな話を聞けるか分からない。そしてその出会いが自分の行動にどう影響するか分からないからこそ、中継は楽しいなと感じるきょうこの頃です。
▲入谷朝顔まつりの会場から中継!
▲きれいに朝顔咲きました!
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