
「参院選を受けた臨時国会 退陣圧力強まる石破総理は綱渡りの国会対応」
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文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。
衆議院に続き、参議院でも野党が過半数を握る、異例の国会がスタートした。
法案も予算も野党の協力がなければ何も通らない状況に陥っているが、石破総理は「比較第一党」を理由に連日続投の意欲を示し続けている。強気の姿勢とはうらはらに、心の余裕のなさも垣間見える。選挙前まで毎日のように、官邸エントランスに飾ってある大阪・関西万博のマスコット、ミャクミャクに笑顔で手を振ったり、時には声をかけていたが、選挙後はほとんど見向きもせず、怖い顔で通り過ぎるだけ。癒しの友のような存在だったミャクミャクも今は目にも入らないようだ。
今国会の会期はわずか5日間。土日を除くと3日間だが、中身の詰まった国会となりそうだ。
1日は開会の手続きとなる正副議長や委員長ポストの選任などを経て開会式が行われた。4日と5日には衆議院と参議院でそれぞれアメリカの関税合意を受けた予算委員会集中審議が総理出席のもと行われ、国会は閉会となる。集中審議では、野党からは立憲民主党の野田代表や国民民主党の玉木代表が質問に立ち、関税問題以外にも物価高対策として補正予算の編成、参院選で野党各党が訴えた消費税減税についても石破総理に迫る方針。参議院では参院選で躍進した参政党。予算委員会での質問時間も割り当てられたことで、神谷代表が初めて質問に立ち、石破総理を追及。緊張感のある論戦が期待される。
また、先の国会で廃案となったガソリンの暫定税率廃止法案について、参院選での民意を受けたとして立憲民主党や国民民主党、日本維新の会など野党7党が1日、新ためて共同提出。その後、与野党の実務者協議の第1回目の会合を開き、できるだけ早い時期に暫定税率を廃止する方針を確認した。
暫定税率廃止法案で足並みをそろえた野党側は、ほかの政策でも与党に対し波状攻撃をかけたい考えだ。しかし消費税減税については各党で実施方法がバラバラ。選択的夫婦別姓なども温度差があることから今後、野党間での調整は難航しそうだ。
一方、自民党内から退陣圧力が強まる石破総理は、毎日が綱渡りの対応を迫られている。
国会閉会後の8日、自民党本部で両院議員総会が開催される。党内の若手・中堅議員らが総会を開くよう署名活動を行い、実施を求めていたが、執行部側がこの動きに先駆けて実施を決めた背景には、総会の主導権を握り、総裁選の前倒しなど石破おろしにつながる議題を避けたい思惑がある。これに対し、中堅・若手ら総裁選前倒しを求める議員らは、すでに集まった署名を提出せずに温存。8日の総会の中身次第では、2回目の開催を要求する考えを持っている。
自民党では、7月31日に参議院選挙総括委員会の第1回会合が開かれた。森山幹事長は8月中をめどに報告書を取りまとめるとしているが、具体的な回数や内容などは明らかにしなかった。
総括委員会は、2007年に年金問題などで大敗した参院選挙後にも開かれている。国会議員のほか、有識者、地方組織、友好団体、それに一般有権者の声もヒアリングし、20日程度で報告書をまとめたことから、今回も同様の経過をたどるのではと予想される。
森山幹事長は、報告書がまとまれば「幹事長としての責任を明らかにする」と引責辞任を示唆している。続投に意欲を示す石破総理の進退にも大きく影響してきそうだ。