就任からおよそ100日。小泉進次郎農水大臣の動き、実績を振り返る

就任からおよそ100日。小泉進次郎農水大臣の動き、実績を振り返る

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ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時30分~17時、火~金曜日15時30分~17時35分)、8月28日の放送にノンフィクション作家の常井健一が出演した。明日で就任100日となる小泉進次郎農林水産大臣の、ここまでの動きを振り返った。

長野智子「ここまでの小泉進次郎農水大臣、いかがでしょうか?」

常井健一「小泉さん、5月に大臣に抜擢されるまでは無役に等しかったんですね。一瞬で復権を果たしたような感じになりましたけど。昨年秋の衆議院選で自民党が惨敗した責任をとって失脚してから7ヶ月で、意外と早く再登板の機会が訪れた。これは何か持っている証なのでは、と思いました」

長野「はい」

常井「ただしあれだけ話題になったのには仕掛けがあると見ていまして。いまSNS政治って話題じゃないですか。でも小泉さんはリアルの人で、ネットはあまり得意ではない。代わりに記者クラブメディア、新聞やテレビを駆使するんですね。しかも農水省の記者クラブは経済部系の記者が多い。どちらかというと政治家に甘い。その点が小泉さんのメディアコントロールに好都合だった、というのが私の見方です」

長野「うん」

常井「たとえば小泉さんって有名人や実業家、JAの関係者が懇談に来るじゃないですか。基本的にそのとき、報道陣に公開する。最近だとビル・ゲイツ、この間は福岡の筑豊地方の農協の組合長としゃべる、といった場面がテレビで流れました。台本なしのやりとりが生々しいからテレビ局も報道番組、情報番組で特集を組む。コメンテーターもヨイショして、おのずと国民的支持が高まると。そういう構図のワイドショー政治を行う、というのが父譲りのメディア戦略です」

長野「はい」

常井「小泉さんの場合、5月の就任3日目にNHKの『ニュースウオッチ9』に出て、広内キャスターと、かなり和やかなやりとりをしているんですね。あれがけっこう、決定的だったと思いまして」

長野「どういうことですか?」

常井「あれによって、小泉さんの仕掛ける奇策に対してなんとなく寛容に受け止める空気が醸成されたのではないかな、と私は捉えています」

長野「現実問題として奇策というか、備蓄米を大量放出、という部分もそうですけど、成果としてはどうだったんでしょうか」

常井「スピード重視で就任10日ほどで備蓄米をスーパーの店頭に並べた、という風景を演出した。1ヶ月たらずで平均価格3000円台まで下げて3ヶ月ぶりの水準に戻した。小泉さんは農政の族議員ではないので、業界団体に忖度する必要はないし、総理の後押しもあると。あと良くも悪くも政治が市場に介入することに躊躇がない。ある種の自由さが功を奏したと思います。反面、この100日間の実績は、コメに限った話ばかりなんですよ」

長野「はい」

常井「農林水産大臣ってほかの農業、畜産、林業、水産業といった行政も担当している。それなのに肝心の発信力は充分に発揮されていません。コメといっても消費者に届く段階は、生産、集荷、卸売、小売、といった段階がある。その中で小泉さんが注力したのは小売の段階だけ。仲の良い経営者に声をかけやすかった、得意分野なんです。生産者目線から消費者目線への転換を派手に印象付けましたけど、根本的な問題は未解決なんですね」

「長野智子アップデート」は毎週月曜~金曜の午後3時30分~5時、文化放送(FM91.6MHz、 AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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