
ドキュメンタリー映画「揺さぶられる正義」。監督・上田大輔氏がこの作品で一番訴えたかったこと
8月29日(金)、ニュースキャスター・長野智子がパーソナリティを務めるラジオ番組「長野智子アップデート」(文化放送・15時30分~17時)が放送。午後4時台「ニュースアップデート」のコーナーでは、映画「揺さぶられる正義」について、ジャーナリストの青木理氏、この映画の監督を務める関西テレビ報道記者の上田大輔氏に話を伺った。
「揺さぶられる正義」は、多くの冤罪を生んだ「揺さぶられっ子症候群(Shaken Baby Syndrome=SBS)」事件を追ったドキュメンタリー。2010年代、赤ちゃんを激しく揺さぶり脳に重度の損傷を負わせる「揺さぶられっ子症候群」の疑いで、親などが逮捕・起訴される事件が相次ぎ、マスコミでも大きく報じられた。上田氏は記者1年目からこの問題に向き合い、取材を続けてきた。
長野智子「この映画で一番訴えたかったことはなんですか?」
上田大輔「やっぱり、何があったのかを知ってもらいたいと思いました。このSBSの裁判は、当時すごく逮捕・起訴が多くて、その後、次々と無罪が下されていったんですよね。これって日本の刑事裁判史上、ほとんどない事態。日本の刑事司法の問題がたくさん浮かび上がっていったんですね。そういったことを一つにまとめて見ていただくと。一つ一つの事件はその都度、我々は報道しているんですけど、全体をまとめて見ていただくことで違った問題っていうのが見えてくる。たとえば刑事司法でいうと当然、人質司法の問題も出てきますし、科学的証拠をどう吟味して裁判していくかっていう問題もあります。それを裁判員裁判で本当はやっているわけですから、本当に裁判員がジャッジできるのかっていう問題も孕んできますし、あとは“虐待冤罪”って私は呼んでいるんですけど、子供を虐待したと疑われたことが冤罪だった場合の家族に与える被害といいますか、かなり大きいものがあって、単に無罪判決が出たからといって解決しないと思うんですよね。そういったことを、何が起きているのかというのを一連で見ていただく必要があるなと思って映画という形でまとめたということになりますね」
長野「(映画の中で)仲のいいご家族が、お父さんがこれで疑われて逮捕されてしまって、冤罪なんですけれども、家族が引き離されちゃって4年間くらい会えなかったりとか……」
上田「4年、家族はバラバラに過ごさざるを得なくなったっていうことですね。で、最初のほうは居場所も教えてもらえなかったり、1年半ぐらいはお父さんは息子や妻と会えない時間が続いていたということになりますね」
長野「だから大きないろんな冤罪被害者に影響を与えているという……」
青木理「この作品を拝見して、刑事司法の有り様というか、いろはの“い”みたいなところが、まさにタイトルの『揺さぶられる正義』っていうところに表れてもいるんですけれども、検察側の証人で医療専門家の方々が出てくるわけですよ。彼らにしてみれば、現に乳幼児が亡くなっていると。で、何かあったとしか思えないような症状があるんだっていうような状況の時には、少し言葉は悪いけど『多少の冤罪が作られても子供の無念に応えるべきだ』みたいな論理を立てるわけですけど、これは一方の正義ですよね?『実際に子供が死んでいて無念だったでしょ、なんとか原因を突き止めなくちゃ』っていうような一つの正義なんだけど。ただ、一方の弁護士さん、刑事司法の立場から言えば、合理的な疑いが挟まれる余地がないところまで立証されていればギルティ(有罪)だけど、そうじゃなかったらノットギルティ(無罪)なんですよね。その正義がぶつかり合う。で、しかもこのケースで言えば、肝心要なSBSなるものが、そもそもかなり捻じ曲がっていた。だから上田さんがおっしゃるように無罪判決が相次ぐっていうようなことになったんだけれども。しかし、これはSBSだけの問題ではきっとないんだろうなっていうふうには思いましたよね」
「長野智子アップデート」は毎週月曜~金曜の午後3時30分~5時、文化放送
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