
コメの増産をめぐる問題。小泉進次郎農水大臣とJAの間にあるギャップを埋めたい
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時30分~17時、火~金曜日15時30分~17時35分)、9月4日の放送にノンフィクション作家の常井健一が出演。コメの増産路線へ向かおうとする石破政権の農業政策、米価の高騰が抱える問題などについて解説した。
長野智子「2025年産米、スーパーの店頭に並び始めまして。24年の大きく高騰したものを超えるぐらい、かなりの高値となりそうです。来年度以降のコメの増産をめぐって水面下では小泉進次郎大臣が率いる農水省、生産者団体との神経戦が繰り広げられているようです。JAは石破政権の農業政策をどう思っているのでしょうか」
常井健一「まずお互いが考える、農協のあるべき姿はかなりのギャップがあるんですね。JA側の発想は、農協が損すると農家が損する、農協が儲かれば農家も儲かると。そもそも農協の使命は農家の所得向上と地域の活性化なんですね。JAは農家と運命共同体で、利害もイコールだという意識です」
長野「はい」
常井「一方で小泉大臣は、たとえ農協が損しても農家に得させるべきだという発想なんですね。それが行きつく先には、農協だけが儲けて農家のお金を吸い取っている、とステレオタイプに思ってしまう人もいるんですね。小泉さんは『このままだと農協は農家から選ばれない存在になってしまう』と警鐘を鳴らしていますが、そういう態度はJAにとって挑発とも受け取れるわけです」
長野「真実はどうなんですか?」
常井「古い組織のJAに問題はたくさんあります。でもコメに限っていえば、JA以外にコメを売ろうとする農家っていますごく増えていて。JAのコメ集荷率って減ってきている。コメの価格の影響力は落ちているんです」
長野「はい」
常井「小泉さんの話を聴いているとJAが価格を高くしている、諸悪の根源だと思えてしまう場合もある。でも現実はJAが、価格を決めるプライスリーダーの座から陥落しつつあって。もはやモンスターじゃないんだ、と。そういう現状認識に立って、お互いのギャップを修正すれば、コメ対策ももう一歩、前へ進めるのに。ある人に言わせると小泉さんの見方は自民党農林部会長をしていた10年前からアップデートされていないんだと」
長野「そうなんですね」
常井「農協改革の一環で農協法が改正されて、JAの中核組織は6年前に一般社団法人化されているんです。JAで働く人たちは、民間の感覚に切り替え始めているよ、と。それに民間の経営判断は自己責任なのに、どうして箸の上げ下げまで大臣に言われなくてはいけないんだ、と。そういう不信感が、JAの中枢を取材していると、あるんですね」
長野「なるほど」
常井「まして政府は改革と言いながら、今回の備蓄米放出で価格決定に介入している。30年前に廃止された食管制度の先祖返りじゃないか、という農家の怒りもあるわけです」
長野「緊急事態だから、とは言っていましたけど、という」
常井「そう。農家に言わせると、だったらどうしてコメが低いときに買い上げを求めても、政府は介入しないという一点張りで置き去りにされたんだと。米価が上がったら介入してくる、というのはあまりに都合がいいんじゃないか、と」
「長野智子アップデート」は毎週月曜~金曜の午後3時30分~5時、文化放送(FM91.6MHz、 AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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