「自民党総裁選挙 告示」

「自民党総裁選挙 告示」

Share

 文化放送をキーステーションに全国33局で放送中「ニュースパレード」(毎週月曜日~金曜日午後5時00分~5時15分)

 その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。

 文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。

 

自民党総裁選挙が告示され、5人の候補が立候補した。
届け出順に、小林鷹之元経済安全保障担当大臣、茂木敏充前幹事長、林芳正官房長官、
高市早苗前経済安全保障担当大臣、それに小泉進次郎農林水産大臣。
党本部で午後1時から行われた所見発表演説では、届け出順に自身の政策などをアピールした。


トップバッターの小林候補は、「誰もが挑戦できる日本を作る。日本ってすごいだろう。そんな日本を作る」と意欲を示した。
そして「大事なことはぶれないこと、構想する力、事を成し遂げる強い意志」だと強調。
強みについてはゼロから1を生み出すこと。
経済安全保障については誰も関心のないときに自ら取り組み我が国の中心政策に押し上げ、
各国が重要政策として取り組んでいるとアピール。
また党改革については、「新しい世代がもっともっと前に出て、よりスピードのある決断を、そしてオープンな組織にする。
そして発信力のある組織に変える」と強調するなど、世代交代、若さを強調したが、若さは経験不足との裏返し。
トップバッターとしての気負いもあったのだろうか、出席議員から「ちょっと硬かったな」という感想も聞かれた。

                   
2番手の茂木候補は、議員生活32年の大ベテラン。 
自民党の強みは人材力と指摘した茂木候補は、「自民党には次の時代を担う、多くの中堅・若手人材がいます。
閣僚の平均年齢は10歳若返らせます。3割は女性を登用します」と。その茂木候補が目指すのは「政権の安定」。
「厳しい外交交渉のような高度な交渉力によって、基本政策、外交安全保障、エネルギーそして憲法。
こうした政策が一致する政党と連立の枠組みを広げる。このことを追求し政権基盤を固めたい」との考えを述べた。
日米貿易交渉をめぐる実績や経験もアピールしつつ、朗々と語り続けた演説だったが、
1人15分の持ち時間を約4分残して終了。議員からは「時間の読み違えか?もったいない」という言葉ももれた。


3番手は同じくベテランの林候補。
「国会議員になって30年で得られた経験をフルに生かしきって日本のために働きたい」と総裁への意欲を示した。
経済については「実質賃金を1%ずつ上昇させる。これを定着させる。ぜひやりたい」
「必要なのは成長戦略、規制緩和をどんどんやる」と強調。また、分厚い中間層を日本に取り戻すと述べ、
「2040年代、それまでに強い経済と強い社会保障、これをしっかりとやっておかなければ、間に合わなくなります。
工程表を作って取り組みます」と訴えた。
記者からは、官房長官という役職故か、踏み込み不足は致し方ないとの感想も・・・


経済や党改革をアピールする候補の中で、異色の演説を行ったのは高市候補だった。
冒頭「高市早苗、奈良の女です。大和の国で育ちました」と自己紹介し、奈良のシカをよんだ大伴家持の歌を披露。
「そのシカを外国人観光客が痛めつける。神社の鳥居を鉄棒のようにぶら下がる。神社をなんとおもとるんでしょうか?
古い古いものが大切に大切にされているところに、そういう日本人の気持ちを踏みにじって喜ぶ人が外国から来るようなら、
何かをしないといけません。私、高市早苗、日本をかけがえのない国にしてきたこの古来の伝統を守るために体を張ります」
と力を込めて訴えた。

また坂本龍馬の「日本をせんたくいたし申し候」について「高市早苗、これをいただきます。日本を洗濯する。シミやよこれを洗濯する」
と強調した。

高市候補の演説ついて、陣営からは「ちょっとやりすぎ。びっくりした」という声も聞こえたが、
「議員票ではなく党員党友に向けた演説。心に響いたのでは」と評価する意見もあった。


トリを飾ったのは小泉候補。順番が回ってくるまでの約1時間、他候補の発言を聞いて、しきりに原稿にペンを走らせ続け、
演説内容に手を入れ続けていたようだ。
その小泉候補は解党的出直しが求められている自民党対し、
「何が足りなかったのか、国民の声を聞く力、感じ取る力が足りなかったのではないか」と指摘。
「国民と約束したこと、野党と合意したこと。国民が求めていること、それを一致団結、着実に実行することが
信頼回復の唯一の道だと思う」とし、「互いの違いを競い合うのではなく、互いの共有しているものに目を向け、
一致点を見出し着実に実行していくことではないか」と訴えた。
また物価高対策として国民の声を聞き、与野党で合意のあるガソリンの暫定税率の廃止などに取り組む姿勢を示したほか、
少数与党の現状に鑑み「国民の関心が高い政策について野党に幅広く政策協議を呼びかけ、与野党協議を摸索する努力をする。
その中で政策や理念の一致を慎重に見極めながら、政権の枠組みの在り方についても議論を深める」との考えを示した。
5人の候補が手元の原稿に目を落とすことなく訴えていたのに比べ、原稿を読み続けた小泉候補に、
「準備不足」「経験付則」「勉強不足」と辛らつな声も上がった。

総裁の椅子をめぐる12日間の戦いがスタートした。候補者同士が意見を戦わせる討論会での対応が勝敗の行方を左右しそうだ。

Share

関連記事

この記事の番組情報


ニュースパレード

ニュースパレード

月〜金 17:00〜17:15

その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介します。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポー…

NOW ON AIR
ページTOPへ