
「自民維新、連立合意」
文化放送をキーステーションに全国33局で放送中「ニュースパレード」(毎週月曜日~金曜日午後5時00分~5時15分)
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文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。
目次
首班指名選挙をめぐる与野党入り乱れての多数派工作も、自民党と日本維新の会が20日、連立合意書に調印したことでようやく落ち着きを取り戻しつつある。
しかし永田町ではこの連立は「長くはもたない」と危惧する声が消えない。維新が加わったとしても衆参ともに少数与党であることに変わりはなく、予算や法案成立には引き続き、野党の協力が不可欠となり新政権も厳しい政権運営が求められることに変わりはないからだ。
連立の合意文書調印後に開いた共同記者会見で高市総裁は「まずは自民と維新で政策のすり合わせをして責任をもって国会に提出する」とした上で、同じような考えを持つ野党に幅広く声をかけながらひとつずつ丁寧に仕上げていきたいと述べた。
維新が政策協議で自民党に投げかけた12本の矢はどれも一筋縄ではいかない。
憲法改正や安全保障など国家観が一致する点もあるが、企業団体献金の禁止や食品の消費税2年間ゼロ、国会議員の1割定数削減の3つは自民党にとってハードルが高い問題だった。
首班指名選挙の前日になんとしても合意する必要がある両党は、連立合意文書に書き込む文言調整で苦心した。
企業団体献金については、継続した自民党と完全廃止を唱える維新はまるで水と油だ。しかし合意文書には「最終結論を得るまでには至っていない」とした上で、企業団体からの献金、政治団体からの献金、受け手の規制など政党の資金調達の在り方について議論する協議体を臨時国会中に設置し、「高市総裁の任期中に結論を得る」とした。
また、維新側がセンターピンとして掲げた国会議員の定数1割削減については「臨時国会に議員立法で法案を提出し、成立を目指す」と記載された。
合意文書の通り実現するかどうかはまだわからない。企業団体献金の結論は約2年先、議員定数については、臨時国会が57日間の短期間で改正案を成立させるために「1割削減を目指し、今後各党で協議を進める」と目標を掲げる程度の内容にとどまる可能性も考えられる。実際に実現するには選挙制度自体に踏み込む必要も出てくるため、どんなに頑張っても数年はかかると指摘する声は与野党から複数上がっている。
旧文通費の改革をめぐり合意文書を交わしながらも約束を反故にされた維新。野党関係者は「どうせまた、だまされるだけだ」と冷ややかな視線を送っている。
連立合意文書への調印に臨んだ高市総裁は、「日本経済を強くする。未来の世代に責任を持てる形に変えていく取り組みを一緒にできることを楽しみにしている」と満面の笑顔で語った。
一方、維新の吉村代表は「日本を良くしたいという思いは一緒。今一票を持たない子供たちが大人になった時、この日本、本当によかったなという国を一緒に作っていきたい」と強調した。
参院選挙から3か月間の政治空白を経て、ようやく臨時国会が開幕した。
衆参少数与党の現実は変わらず、自民と維新の連立政権は厳しい船出となりそうだ。