トランプ大統領の登場以降、アメリカはどう変わったか。「思想」の観点から語る

トランプ大統領の登場以降、アメリカはどう変わったか。「思想」の観点から語る

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大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日11時30分~15時)、11月6日の放送に神戸大学大学院教授・井上弘貴がリモートで出演。発売中の著書『アメリカの新右翼─トランプを生み出した思想家たち─』にちなみ、トランプ大統領の第1次政権以降のアメリカについて語った。

大竹まこと「井上さんの御本は『アメリカの新右翼─トランプを生み出した思想家たち─』といいます。どんな本なのか簡単にご説明いただけますか?」

井上弘貴「この本を書くきっかけになったのは、2016年のトランプ大統領の当選が大きかったと思います。共和党を中心としたアメリカの政治がガラッと変わってしまったと。こんなふうに変わってしまったのか、ということは政治や経済の観点からも語れるでしょう。ただやはり、思想という別の側面から大きな地殻変動が起きてきたし、いまも起きているんじゃないか。そこをとらえないとトランプさんの登場は充分に説明できない、アメリカの動きを予測することは難しいんじゃないか、というのが、書いた理由の大きな部分です」

大竹「MAGA(Make America Great Again)というんですか。アメリカで、この力が大きく伸びています」

井上「MAGAの人たちの考え方は3つあると思うんです。1つ目はアメリカから移民を追い出す、という部分ですね。そしてメキシコとの間に大きくてビューティフルな壁をつくる。トランプさんがずっと言ってきたところかなと」

大竹「うん」

井上「2つ目がアメリカに仕事を取り戻すという部分。製造業を取り戻して、アメリカの力を復活させる。これが関税のことにもつながっているかなと。3つ目がアメリカは世界の警察官であることをやめるんだ、という主張です。アメリカは世界のことに介入する、ということを冷戦の時代もそのあとも続けてきた。それをやめると。この3つの部分がMAGA派という人たちの考え方のポイントにあると思います」

大竹「はい」

井上「まさにそうした考え方に乗っかって、トランプさんが新しいことをしている。それを様々なかたちで支える、新しいタイプである右派のインテリの人たちがこの10年ぐらい出てきている、というところかなと」

大竹「2つ目でいうと、ラストベルトの白人の人たちは、仕事などを取り戻せました?」

井上「取り戻せている、というのは難しい。現在、関税政策でアメリカは、日本も含め各国と関税交渉をしている。日本も80兆円の対米投資をしていこう、ということではあります。それが実際にラストベルトと呼ばれる中西部地域に仕事が戻るか、というと別問題だと思います。ただし自分たちのことを見てくれている、アメリカの田舎の、特に白人の、暮らし向きが良くない人たちのほうを見てくれているんだ、という気持ちがある。そこがトランプ支持につながっているのではないかな、と」

青木理「井上さんの本も読んですごく思いました。オルト・ライトというものが、本の中の言葉でいえばアメリカの古典的自由主義というものを根本的に変えようという思想があるんだと。民主党の責任もあるけれど、共和党はトランプさんに乗っ取られて、かつてのように比較的穏健なものには戻らない、と考えたほうがよろしいですか?」

井上「なかなか難しいところだなと。この10年間ほどの中で、共和党はトランプのもの、MAGA党になってしまった部分は確かにあります。ただ穏健な人たちがまったくいなくなったわけではないし、伝統的な共和党の主流派の人たちも、まだまだ力は持っているところです。今後、中間選挙もあり、2028年には大統領選もあるという中で、MAGA派の人たちがこれまでどおりいけるかどうか。それはまだわからないかなと思います」

「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午前11時30分~午後3時、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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