絶対に謝らない“謝ったら死ぬ病”問題について考える

絶対に謝らない“謝ったら死ぬ病”問題について考える

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フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄ラジオマガジン」(文化放送)。11月26日(水)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、水曜前半レギュラーの組織開発コンサルタント・勅使川原真衣が、最近社会に多く見られる“謝ったら死ぬ病”について考察した。

勅使川原真衣「今日は『“謝ったら死ぬ病”は性格の問題?』と題して。どうなんですかね?」

武田砂鉄「すいません」

勅使川原「性格か?(笑)これ性格なのか? いやいや、でもね、評価とそれに伴うその行動、学習した結果としての行動っていうのが絡んでくるような気がするので、そういう話をしようと思います。
近年どうですか? 政治の世界や企業の世界でも、『絶対謝らない人』っているような気がするのは、私だけでしょうか?」

武田「いや、みんな思ってると思いますよ」

勅使川原「本当ですか? 隣国への敬意を書いて批判を受けても、説明を求められても、周囲が明らかな非を指摘しても、頑なに謝罪だけは避けるっていうね、『そういうのあるなぁ』と思ってるんですね。
あと謝罪どころか最近ってあんまり見解も聞けないこと多くないですか?『コメントを控える』とかね、『答弁を差し控える』みたいなね」

武田「『重く受け止める』とかね」

勅使川原「ね! 受け止めるだけっていうね。『逃げ腰発言』。これ企業でも残念ながらあるような気がしていて、ネット上では“謝ったら死ぬ病”と呼ばれてるんですよね。これについてある新聞では『負けず嫌いの人に多い現象だ』っていう書き方だったりとか『Z世代にも蔓延してきてる』みたいな書き方があったんですけども、私これ『個人の性格の問題にしない方がいいんじゃないかな?』って思ってるんですね。
教育社会学と組織開発をやってきた視点で言うと、謝れない人っていうのは『評価を始めとする既存のシステムから、学習した結果である可能性っていうのが否めない』と思うからなんです。
なので今日は、“謝らない人問題”を性格の話にせず、組織の評価とか、学習の観点で再考してみるという時間にしたいと思うんです。
『評価の考えとそこから学ぶこと、学習の考え方は、若干Z世代と30代以上で異なるのかな?』と思っています。
まず我々も含めた30代以上で言うと、政治的な言論空間とかね、競争の激しい厳しい企業文化において『謝らない強さ』みたいなのが評価されれば、それは戦略的にその態度を学習しますよね?」

武田「確かに」

勅使川原「個人は生き残りを組織の中で賭けてるわけだから。逆に『謝罪=弱さ』とか『あいつは揺らいでる』とかね、『優柔不断、頼りない』って言われちゃって、謝らないことを『強靭な精神力で』とか『一貫している』とか『ブレない、覚悟が決まってる』みたいに評価するような文化があれば、そりゃあ謝っちゃったら損しますから、普通に考えて謝らないんですよね。
つまり組織における個人の評価っていうのは、その後の言動をある程度規定するっていう風に組織論では考えます。よって組織内の言動は『個人の性格が全てだよ』って見ない方がいいのかなと。
そうじゃなくて謝らない人っていうのは、個人の性質というよりも特定の環境で評価を得るべく合理的に学習した結果、その結果の振る舞いっていう風に見た方がいいんじゃないかと思うわけです。
この考えでいくと、特定の文化に染まる時間が長ければ長いほど、どっぷり浸かれば浸かるほど、この態度は強固になるはずです。
同質性の高い組織で謝らない、訂正しないことを『ブレないな、あの人は』って評価され続けているのを自分が評価されなくて見聞きしているだけでも、これっていつの間にか自分も体得してしまうような現象でもあります」

武田「そうですよね。それこそ今の政治家の振る舞いを見ていると、この謝らないっていうのをずっと続けていくと何が起きるかというと、『謝ってください』って言ってる側が、なんか『凄い怖い人』とか、『文句を言い続けてる人』みたいになるっていう、その現象っていうのを結構それこそ政治家なりが活用してる感じっていうのはありますよね」

勅使川原「『イキリかぶせ』みたいな。ということでZ世代で言うと、金間大介さんの『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』という一冊、これ大変話題になりましたよね?」

武田「面白い本ですよね」

勅使川原「あれでいくと謝罪なんて愚かですね。皆の前で褒められることすら忌避する世代であると、これはこれで老婆心ながら色々心配しちゃうんですけども、周囲から抜きん出ないことを第一に考えるということならば、後々よろしくない評価を受ける可能性があることも最初からしないっていう合理性を、彼ら彼女らは持ちそうだなというふうに私は見ています。
良くも悪くも目立つのが嫌ならば、正解がどうかがよくわからない。先の読めない時代だったら下手なことしない方がいいですよね?」

武田「そうですよね」

勅使川原「『何もしないのが得策だな』ってことにならなければいいな、なんて思ってます。要するにですね“謝ったら死ぬ病”というのは、行動した結果が良い、良くないのに謝らない、意固地型っていうんですかね、勝手に名付けましたけど。
あと端から杭として出ないようにすることで、謝らなくて済む状況を作るっていう、いい子型みたいなね、金間さんの言葉を借りましたが、この両方があるのかな? とも思います」

この後も、勅使川原さんの的確で力強い考察はまだまだ続きます。気になる方はradikoのタイムフリーでご確認ください。

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