箱根駅伝 第101回大会ハイライト実況
出雲、全日本を制し、史上6校目の大学駅伝三冠に王手をかけた國學院大學。2年連続の箱根優勝を目指す青山学院大学。王座奪還を目指す駒澤大学——。“3強”による優勝争いが注目された第101回目の箱根駅伝。色鮮やかな23本の襷が2025年1月2日午前8時、大手町をスタートしました。
1区からレースは大きく動きます。スタート直後に中央大学・吉居駿恭(3年)が飛び出すと、どんどん差を広げ、独走態勢に入ります。吉居は第98回大会で区間記録を樹立した兄・大和を彷彿とさせる積極的な走りで1時間01分07秒、1区歴代4位の快走を見せました。
一方、牽制を続けた後続の集団ですが、20kmすぎに日体大・平島龍斗(3年)が前に出ると、駒澤大・帰山侑大(3年)がスパートで抜いて吉居から1分32秒差の2位で襷リレー。100回大会で1区区間最下位だった平島は区間3位に入り、リベンジを果たしました。注目の國學院大學は6位、青山学院大学は10位で最初の襷リレーを行いました。
2区も中央大学が独走。後方では、14位で襷を受けた東京国際大学のリチャード・エティーリ(2年)が驚異のごぼう抜きで2位まで順位を押し上げると、17位で走り出した創価大学・吉田響(4年)は4位まで、10位でスタートした青山学院大学・黒田朝日(3年)が3位まで順位を上げる快走。史上稀に見る“高速2区”となった今回、リチャード・エティーリが1時間05分31秒をマークし区間新記録で区間賞を獲得。区間2位は1時間05分43秒の吉田響で、区間新、さらに日本人選手歴代最高タイムをたたき出しました。区間3位の黒田朝日も1時間05分44秒で区間新。この3人が65分台、さらに計11人が66分台までで走る、史上最速の2区となりました。
3区も中央大学が首位を独走。本間颯(2年)は1時間00分16秒で区間賞を獲得、歴代4位の好タイムで2位以下を引き離しました。後方では、創価大学のスティーブン・ムチーニ(2年)が区間2位の好走。区間3位は早稲田大学のルーキー・山口竣平で、チームを11位から5位に押し上げました。
4区も中央大学の独走が続きますが、後ろでは青山学院大学・太田蒼生(4年)がすさまじい勢いで追い上げを見せます。先頭・中央大学から2分24秒差でスタートすると、その差を45秒まで縮める激走。吉田祐也(青山学院大学)が2020年にマークした日本人最高タイムを6秒上回る1時間00分24秒で区間賞を獲得しました。区間2位は國學院大學・青木瑠郁(3年)、区間3位は東洋大学・岸本遼太郎(3年)で7人を抜いて9位まで順位を上げ、シード圏内に押し上げました。
5区でついに首位が交代します。9.5km付近で青山学院大学・若林宏樹(4年)が中央大学・園木大斗(4年)をとらえると一気に抜き去り、独走態勢に。若林は、かつてほぼ同じコースで“初代山の神”今井正人が記録した1時間09分12秒を1秒上回る1時間09分11秒の区間新記録で区間賞を獲得しました。区間2位は早稲田大学の“山の名探偵”工藤慎作(2年)、3人を抜いて3位まで順位を上げました。期待された城西大学・斎藤将也(3年)は直前の発熱の影響からか、区間3位にとどまりました。立教大学・山本羅生(4年)は区間5位の力走で、チームを51年ぶりの往路トップ10入り、8位まで順位を上げています。
シード権争いは8位立教大学から14位帝京大学まで2分01秒差の混戦。また、往路優勝を果たした青山学院大学から10分以上の差が付いた15位の山梨学院大学以下、関東学生連合チームを含めた7チームが復路一斉スタートとなりました。
1月3日午前8時。先頭でスタートしたフレッシュグリーンの襷は往路優勝の勢いそのままに、6区でも独走。野村昭夢(4年)が2020年に舘澤享次(東海大学)がマークした区間記録を30秒も上回る56分47秒をマーク。史上初の56分台で区間賞を獲得しました。区間2位は駒澤大学・伊藤蒼唯(3年)、区間3位は城西大学のルーキー・小林竜輝。帝京大学・廣田陸(2年)は区間4位の快走でチームを14位から12位、シード権の見える位置に押し上げました。出場21人中19人が60分切りを達成する、史上最もハイレベルな山下りとなりました。
エース級の選手が多く配置された7区で異次元の走りを見せたのは“学生最速ランナー”駒澤大学・佐藤圭汰(3年)。故障が続き、およそ10か月ぶりの復帰レースながら、パワフルな走りで1時間00分43秒の区間新記録をマーク。阿部弘輝(明治大学)が持っていた区間記録を57秒も更新し、さらに2位に1分38秒差をつける圧巻の区間賞でした。区間2位には地元を駆け抜けた國學院大學・辻原輝(2年)と順天堂大学・吉岡大翔(2年)。東京国際大学・冨永昌輝(4年)は区間4位でチームを9位に押し上げました。
優勝争いは先頭を走る青山学院大学と、1分40秒差で追う駒澤大学の2校に絞られました。
8区は青山学院大学・塩出翔太(3年)が2年連続で区間賞を獲得する快走。追い上げたい駒澤大学・安原海晴(2年)は区間4位の走りを見せますが、差は1分57秒まで広がりました。区間2位は東洋大学・網本佳悟(3年)でチームを12位から9位に押し上げる力走でした。一方、3位でスタートした中央大学は佐藤大介(1年)が区間最下位に沈み6位に転落。シード権争いは7位城西大学から13位立教大学が1分27秒差にひしめく大混戦。手に汗握るレースが続きます。
ここからは青山学院大学のウィニングランでした。9区を担ったのはキャプテン・田中悠登(4年)。卒業後はアナウンサーになることが決まっていた田中は笑顔でスタートを切ると、自ら実況をしながら襷リレー。区間2位で箱根路に別れを告げました。区間賞は城西大学・桜井優我(3年)でシード権争いから一歩抜け出しました。区間3位には東京国際大学・菅野裕二郎(3年)が入り、チームを11位に押し上げています。この時点で8位は東洋大学、5秒差の9位に帝京大学、さらにそこから6秒差の10位に順天堂大学、順天堂から遅れること21秒で11位東京国際大学、そこから5秒差で日本体育大学。37秒に5チームがひしめく、史上稀に見る白熱したシード権争いが繰り広げられることになります。
10区、先頭で走るのはフレッシュグリーンの襷・青山学院大学。ルーキーでこの区間を任された小河原陽琉は区間賞の走りで、連覇のフィニッシュテープを切りました。青山学院大学は総合10時間41分19秒、大会新記録マーク。さらに復路5時間21分18秒も新記録でした。
復路優勝は駒澤大学でした。駒澤大学らしい粘りの走りで、5時間20分50秒をマーク。王座奪還とはなりませんでしたが、復路優勝で一矢を報い、2位に入りました。國學院大學は最終10区で順位を1つ上げ、3位表彰台。「3強」の一角としての意地を見せました。
一方、シード権争いは、東洋、帝京、順天堂、東京国際の4校が5.9kmで“4つ巴”を形成、ラスト1kmまで集団で進む息を飲むような展開が続きます。最初にしかけたのは東京国際大学・大村良紀(3年)、8位でフィニッシュテープを切り、予選会からシード権を掴み取りました。続いて9位には東洋大学・薄根大河(2年)が入り20年連続のシード権獲得、さらに10位で帝京大学・小林咲冴(1年)がフィニッシュしシード権を獲得しました。“4つ巴”からふるい落とされた順天堂大学は11位でフィニッシュ、10位帝京大学とは7秒差で涙を飲みました。
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この記事の番組情報
文化放送新春スポーツスペシャル 第101回東京箱根間往復大学駅伝競走実況中継
2025年1月2日(月)・3日(火) 7時30分~14時30分
青山学院大学の連覇か、駒澤大学の王座奪還か、 それとも國學院大學が初優勝で三冠を手にするのか—— 「3強」の様相を呈する今シーズン。2日間、10区間合計217…