プチ鹿島が3年前の記事と今の記事を読み比べ! キーワードは“新しい戦前”
フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄ラジオマガジン」(文化放送)。11月27日(木)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、木曜前半レギュラーの時事芸人・プチ鹿島が、昨今のニュースから思い出したという3年前の流行語から、当時の新聞記事と今の記事を読み比べた結果、考えたことを語った。
プチ鹿島「今日のテーマは『3年前の“新しい戦前記事”を読み比べ! そこで全国紙が突っ込まれていた案件とは?』というタイトルでお送りします。
“新しい戦前”という言葉、ちょっと流行りましたよね? タモリさんがおっしゃったんですけど、ちょっと昨今のニュースを見ていると、また改めて思い出した言葉なんで『じゃあこれが出た当時、どういう記事が出ていたのかな?』っていうのをおさらいします。おそらく、3年後の今にもつながると思うんですよね。
これ今から3年前、2022年の暮れにタモリさんが『徹子の部屋』という番組に出演して、黒柳徹子さんから『来年はどんな年になりますかね?』と聞かれて『誰も予想できないですね。新しい戦前になるんじゃないですかね?』と述べて、これがSNSで話題になったと」
武田砂鉄「やっぱりタモリさんと徹子さんがお2人で話してたっていう、この重みがありましたよね」
鹿島「そしたらですね、その数日後、2023年の元日の新聞を読んで、僕驚いたんですよ。というのは共同通信が全国に配信したスペシャル企画で、俳優の吉永小百合さんのインタビューが載ってたんですね。そこで吉永さんは『時代が戻らないか心配』って語っていたんですよ。吉永さんといえば、タモリさんと同世代の方ですよね。その言葉なので吉永さんもある意味“新しい戦前”を憂慮していたと。『なるほどな』と思って。じゃあ吉永さんが具体的に何ておっしゃってたかって言ったら、『怖いのは昨年末(2022年)、サッカーのワールドカップで日本中が湧き返っていた時期に、敵基地攻撃能力や防衛費の増額という大変な問題を、みんなで考えるんじゃなくどんどん決めていこうとした動きです』。当時は岸田政権ですよね。で、これ記事の中で吉永さんが言ってるんですが、『東京大空襲の3日後に生まれたので、自分は幼すぎて戦争体験があるとは言えない。なので戦争について様々なことを学んで、しかも伝えていかなければいけないという気持ちでずっと俳優業をやってきた』って言うんですよね」
武田「はい」
鹿島「だからここで出てきたのが『過去を学ぶ』というキーワードですよね。さらにこの年、2023年お正月の1月3日、信濃毎日新聞の社説。僕長野出身なんで地元紙でもあるんですけども、こういうタイトルだったんですよ。『国防と報道 “非常時”の歴史に学ぶ』。まさに『歴史に学ぼう』という社説が出たんですよね。ちょっと抜粋しますと、こんなこと書いてありました。『戦前の新聞は、非常時に直面して変質した。ただその場面にいた新聞社や読者は引き返せぬルビコン川をいつ渡ったのかさえ気づかなかったのだろう』
つまり変質をしたんだが、それは意図的に変質したんじゃなくていつ変わったのか、本人たちもマスコミも分からなかっただろうと。
予測を超えた事態が起きて、メディアも国民も川を渡らずに踏みとどまれるか。権力による誘導や嘘を見抜き、圧力に流されず跳ね返す報道の力が試されるということで、自己を戒めながらこれからのことを書いていたんですよね。
過去のマスコミ報道、つまり過去の自分を振り返って、新しい戦前かも知れない今において
自分の役割を問うていたんだろうなと僕は思ったんですが、これ実は新聞プチ情報を言いますと、信濃毎日新聞に昔、桐生悠々という方がいたんですよ。どういう方かというと、社説を書いていた人なんですが、昭和8年に『関東防空大演習を笑う』。“笑う”っていう社説を書いて軍部を真正面から批判して、軍部や権力者の怒りを買って、その結果退社を余儀なくされたんです。
井出孫六さんの著書に『抵抗の新聞人 桐生悠々』という本があるんですけど、その中に『一連の軍部機関にはどうしても今言わなければいけないことであり、その問題となった社説も、書かなければならなかったんじゃないか』と。
今から考えるとね、これ『メディアで社説を書いてる人とすれば、そういう社説を書いても当然だ』と思ってしまうんですが、まあ当時は命がけだったんだろうなぁと。
こうした過去があるので信濃毎日新聞は過去のマスコミ報道、つまり過去の自分を振り返って、新しい戦前かも知れない今、自分の役割を改めて問うたんだろうなと思ったんです」
武田「ここから変わった、ここで川を越えたっていう自覚なく、いつの間にかあちら側に行ってしまって書き方も変わっていた、主張も変わっていたということになってしまっていたと」
この後も、プチ鹿島さんの熱のこもった読み比べはまだまだ続きます。気になる方はradikoのタイムフリーでご確認ください。
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