「質問主意書」は大切なもの。逃げの答弁、「国会のハガキ職人」などは問題

「質問主意書」は大切なもの。逃げの答弁、「国会のハガキ職人」などは問題

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ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、12月11日の放送にノンフィクション作家の常井健一が出演した。今回の臨時国会で大きな役割を果たしたという、質問主意書について解説した。

鈴木敏夫(文化放送解説委員)「『質問主意書』、国会でよく聞かれます。常井さんが準備してくださいました。縦書きで質問と答えが書いてある紙です」

常井健一「質問主意書とは国会議員が政府に対し、書面で質問するために提出する文書のことです。提出すると内閣が書面で回答する義務が発生します。そして答弁書という書類を出す。つまり全閣僚がOKした政府の公式見解が紙で残ると。内容は国民にすぐ公開されて、衆議院、参議院のサイトで見られるようになっている。ここまでの作業を政府は、原則7日以内に行わなければいけない、と国会法で決まっています」

長野智子「大変ですね。たくさんあるでしょうし」

常井「7日以内といっても正味5日です。月曜に受け取ったら金曜日までに答えを出す。外交問題なら外務省、教育問題なら文科省、という感じで割り振られます」

長野「今回、質問主意書に注目された理由は?」

常井「高市総理の台湾有事答弁です。存立危機事態について政府見解で踏み込みすぎた。撤回も謝罪もできず、どう軟着陸させよう、と。動いたのが野党の公明党でした。あの6日後に斉藤鉄夫代表の名で存立危機事態に関する質問主意書を提出して。政府は党首討論の前日に答弁書を出して。従来の政府見解を完全に維持するといった答弁を閣議決定した。質問主意書を使って、高市さんの『言いすぎ』を従来の政府答弁のほうに寄せていって。党首討論で高市総理も答弁書を踏まえて軌道修正ができた。すごく意義あることだったなと」

長野「質問主意書を今回は公明党が活用しました。普段はどう使われていますか?」

常井「与野党ともにどの議員でも出せるんですが、提出者はほぼ野党です。特に少数会派や無所属議員が多く使う。どういう目的で使うか。紙で政府見解をとりたいとき、これは言葉のやりとりだけで国益を左右するテーマにもなる。リアルに平場の委員会だと重箱の隅を突くようなやりとりになりかねない。書面ならじっくり精緻な回答が得られる」

長野「はい」

常井「また委員会質問の準備資料となるから。まず文書で政府の立場を引き出して、足りない部分を委員会で聞く。そうすると事前に論点整理がしやすくなって、短い時間でもより深い議論ができる。少数政党って質問時間が少なくて、希望の委員会に入りにくい。だから入れなくても、いろいろな分野の質問ができるんですね。数の力が弱い政党にとって、質問主意書は大きな武器になるんです」

長野「今のお話を聴くと大切なものだとわかるんですけど、あまり評判が良くないというか。官僚が疲弊しまくる、といった話を耳にするんですが」

常井「いくつか問題があって。政府答弁書は逃げの答弁になりがち。ヘタに野党にシッポをつかまれたくない。木で鼻をくくるような答弁が多いわけです。乱発になりがちなのも問題で。今回の臨時国会は50日ほど経ち、既に200件以上、行きました。質問が活発なのは良いことでしょうが、同じ人が何本も出しているケースがほとんど。昔は年間で1人500件以上出すような人もいた。回答期間が短いから、担当課では通常業務が止まってしまう」

長野「いまも1人で、すごくたくさん書く人もいるんですか?」

常井「います。誰とは言いません。サイトをチェックしてみればわかります。『国会のハガキ職人』です(笑)」

「長野智子アップデート」は毎週月曜午後3時~5時、火曜~金曜午後3時~5時35分、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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