ロシアに根づく「はっきりしない戦争に長年耐える」という思想

ロシアに根づく「はっきりしない戦争に長年耐える」という思想

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大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日11時30分~15時)、12月11日の放送に東京大学先端科学技術研究センター准教授で軍事評論家の小泉悠が出演。自身のロシアに関するエピソードや、ロシアの戦争における思想などを語った。

大竹まこと「小泉さんは御本(小泉悠と小谷賢の対談本『戦闘国家――ロシア、イスラエルはなぜ戦い続けるのか』)の中に、奥様がロシア人だと書いてあります」

小泉悠「そうなんですよ。モスクワ出身のいわゆるロシア人です」

大竹「おきれいなんでしょうね」

小泉「なかなか自分で言えないでしょう(笑)」

青木理「でも入国が難しくなっていますよね」

小泉「先月12日にロシア政府から、私を含めて30人、無期限で入国禁止ということになりました」

青木「政府当局者もマスコミのロシア専門家の人たちもいるみたいで。お連れ合いはロシアの方ですけど、そちらは問題ない?」

小泉「ないと思うんですけどね。彼女はロシア国籍ですから。旦那がこういう状態なのに帰ったら嫌がらせされるのでは、など不安になる。いまは帰らないほうがいいのでは、と話すんですけど、ロシア人って究極のあまのじゃく民族なので。やめたほうがいい、と言うと断固『帰る!』って(笑)」

大竹「そんなに頑固なんですか。(ロシアとウクライナの)戦争は最初、2、3週間で終わる、といった噂もありました。それがもう4年近く。どうして続いているんですか?」

小泉「ロシア軍の制服組トップがゲラシモフ上級大将という参謀総長です。彼がよく戦前のある軍事理論家、アレクサンドル・スヴェーチンの話をするんですね。戦争が始まる前から、その人の話をしていて。スヴェーチンは消耗戦の理論家として知られています。大抵の軍事戦略家って、相手を一発でやっつける、華々しい勝利を挙げる方法を考えがちです。でもスヴェーチンは日露戦争、第一次世界大戦に行って、それからロシア内戦もやって」

大竹「はい」

小泉「終わらないグジグジグジグジした戦争を続けていた。そんな簡単に勝てるわけないだろう、という思想の軍人なんですね。スヴェーチン思想ってロシア、ウクライナの将軍たちも軍の学校で読んでいて。ロシアにしてみれば最初の数日か1週間で片づけたかったんでしょうけど、それがうまくいかなかった。たぶんその時点でロシア側もウクライナ側も、将軍たちはスヴェーチンの戦争になると気がついた。結果的にお互い、お手本のようにスヴェーチンのいう消耗戦争を続けている」

大竹「はい」

小泉「戦場はしばらく決着しなくてもいいから、最終的に国力で上回れば勝てるから、など。そういうところをお互いに目指している。でもそうなるとロシアのほうが体力はあるから得意です。恐らくロシアはもう何年かスヴェーチン流にいけば勝てる、と思っている」

大竹「そういう戦略、戦法で」

小泉「はっきりしない戦争に長年耐える、というのはもともとロシアの軍事思想の中にある、ということです」

「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午前11時30分~午後3時、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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