デフレ・インフレ・物価高…次はついに「給料が上がる」！経済学者が大胆予想するワケとは？

大竹「ロシアがウクライナを攻めていることで小麦や原油価格が上がってると巷で言われておりますけど、先生はそれ以前に問題があったと考えていらっしゃるそうですね。」

渡辺「メディアは大部分が「これは戦争なんだ。だから悪いこと起きて、それがインフレと言う形になっている」というストーリーで説明していると思うんですけれども、実は戦争は2020年の2月ぐらいからで、欧米のインフレは21年の春にはもう始まっていました。もちろん、ロシアのウクライナ侵攻があることで、さらにインフレが加速した面はあります。」

室井「それを結びつけて「今私たちの暮らしが苦しくなっているのも、あの戦争のせいだ」って言われても絶対違いますよね。」

渡辺「プーチンのせいで戦争が起きて、インフレになってるというのは単純で分かりやすいんですが、そうじゃないんですね。もしそうなら戦争が終わればインフレも終わることになるんですが、仮に和平交渉がうまくいってもインフレが残る確率は非常に高いんですね。」

大竹「そうなると、何に原因があるんですか？」

渡辺「私の結論はパンデミック。コロナに絡むものが原因だとしています。でも、海外ではパンデミックも終わりの時期なのに、なんでインフレなのかちょっと不思議に思うかもしれませんが、それはパンデミックの後遺症があるんだと説明しています。もちろん医学的な意味ではありません。パンデミックをきっかけに私たちの行動は変化したと思うんですけど、欧米で一番顕著なのは人が働かなくなったんですね。混雑する中に出かけて密な環境で働くのは嫌だと思う人が増えているわけです。特にシニアの方、アメリカだと定年はないですから好きなだけ働けるわけですけれども、リタイヤする人が出ている。アメリカ全土で言うと500万人ぐらい働かない人が出ているんです。コロナの最中はアメリカの人も家にこもって、リモートで仕事するようなことをやってきました、すると「ゆっくりするのもなかなかいいな」と、家族や知人と一緒に過ごすのもいいものだと気がついたんです。だから、コロナが終わったからといっても、前と同じように通勤するかと言われたら、ちょっと嫌だという人が出てきてるんだと思います。こうして人が働かないので物が十分作れません。だからインフレになるんです。」

大竹「リモートになって、会社に行く必要ない。そうするとビルがガラガラになって、今まで銀座ですごい金を使ってきたオヤジもいかなくなる。それに今はAmazonとか色んなのがあって、物だけが家に届くようになったよね。」

室井「本当に必要なものだけにしようって考えちゃうから、みんなお金使わないよね。」

渡辺「そういう変化が世界中で起きてるわけです。普通、人間の行動の変化というのは、日本人はこうだけどアメリカ人は違うとか、みんなそれぞれ違うことをするわけです。しかし今回に限って言うと、みんな同じ行動をしてるので、それが非常に大きなインフレを生んでいるということです。」

大竹「振り返ってみると日本はずっとデフレだったでしょ。それがここに来て物価が上がり始めてガソリンとか食品も水もガスも電気代も上がり始めたけど、一方ではデフレですよね。デフレ状態が続いてるところにインフレが入ってきてるって、これがよく分かんないんですよね。」

渡辺「コロナの前、大体過去20年ぐらいの話なんですけど、価格も賃金も日本は全然動きませんでした。私はこれを「凍結」と言って、まるで凍りついたようでした。デフレというと物価や賃金が落ちるように思いますが、日本で起きたのはそうではなく、価格や賃金が動かない、凍結していたんです。でも、例えば労働者は賃金が上がらなくても価格も上がってないので何とかやっていけるという状況だったので、平和だったわけです。そこに外から価格の高いものがワッとって入ってくる、ということが去年起きたんですね。しかしまだ賃金は凍結状態です。高いものが入ってきたのに、どうやって生きていくんだと、今大騒ぎが起きてるわけです。外からの影響で物価が上がってるわけですから、本当なら次には賃金を上げなければいけない。そうしないと日本人の生活が成り立たない。だから私は、元々、凍結してた価格と賃金が両方解凍されるんじゃないかと願っているんです。」

日本人の給料が上がるシナリオについて詳しくはradikoのタイムフリー機能でご確認下さい。

「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時～3時30分、文化放送（AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko）で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。