【アナコラム】砂山圭大郎「最近あったいい話」
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文化放送メールマガジン(毎週金曜日配信)にて連載中の「アナウンサーコラム」。週替わりで文化放送アナウンサーがコラムを担当しています。この記事では全文をご紹介!
▼12月12日配信号 担当
砂山圭大郎アナウンサー
有楽町の交通会館の一角に、靴磨きのお店があります。
屋外にある有名なお店です。
私は革靴を履くことがないため、利用する機会がないのですが、いい靴を持ったら、いつか磨いてもらいたいと思っていて、よく職人さんの所作や磨かれる靴の様子を眺めています。
先週のことです。
ハンチング帽に青いシャツ、蝶ネクタイ。
そのお店の制服を着た職人さんが、白杖を持った男性と一緒に信号を渡り、有楽町駅まで手引きをしています。
職人さんが駅まで手引きしようと思うくらい、目の見えないお客さんだったと思うのです。
見えないからこそ、でしょうか。
革靴をピカピカにしておきたいという、このお客さんの心意気や美意識にまずグッときて。
それから、その男性客の足元に目を落とすと、茶色の革靴が、一点の曇りなく磨き上げられているのです。
男性客の笑顔と、この靴を見て、熱いものがこみ上げました。
お客さん自身が確認できないからこそ。
職人さんはいつも以上に丁寧に磨き上げたんじゃないかと感じるくらい、本当にピカピカの靴でした。
このお2人の間には、ひょっとすると長い歴史があるのかもしれません。
ただ今回、このピカピカの靴を見ただけでも、2人の気持ちが伝わってきました。
私の想像がほとんどですが、最近あったいい話でした。
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