「高額療養費制度」の見直し “払える人が支える”社会保障のあり方

「高額療養費制度」の見直し “払える人が支える”社会保障のあり方

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1216日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、高額療養費制度の見直しついて意見を交わした。 

財務省的な緊縮思想に捕らわれることなくやって欲しい

高額療養費制度による月の支払い上限額に3回達した人の限度額を抑える「多数回該当」に関し、厚生労働省は年収200万円未満の負担上限を引き下げる。患者団体が低所得層への配慮を求めていた。 

12月15日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の専門委員会で、月の上限額を引き上げるなどの取りまとめ案を大筋で了承した。2026年度予算案の編成過程で制度改正の詳細を固める。2026年夏以降に順次施行する方針だ。石破茂前政権が2024年末に示した改革案からは後退するものの、支払い能力のある人が負担する制度に一歩近づく。

石破政権時代に議論された高額療養費の見直しですが、田中さん、これはどうご覧になりますか」(寺島アナ) 

支払い能力のない方に対する手厚い手当は、ぜひして欲しいと思います。そうじゃないと社会保障制度の意味が無いですからね。ただ、支払い能力のある方にはそれなりの負担をしてもらいたい気持ちもあって、それはまた別に社会保障制度の維持可能性っていうのを強固なものにしていくと思います(田中氏) 

ええ」(寺島アナ) 

やはり私、経済論をやっていて少し心配になるのは、今の高齢層の方々が、“社会保障制度を維持しているのが現役世代である”ということへの関心が薄れてきているんじゃないかと思うんですよね。そういった点からも、ご高齢の方っていうのは、健康を壊しやすい人が多いのは間違いないですが、自分たちで支払える能力がある方々は、できる範囲内で払うのがいいのかな。その一方で、やはり社会保障制度ですから、支払い能力のない方に対しては手厚い目線と共に、財務省的な緊縮思想に捕らわれることなくやって欲しいと思います」(田中氏) 

高額療養費制度は患者の所得に応じて月の負担額を一定額までに抑える。さらに年3回、月の上限額に達した場合に4回目以降の限度額を下げる仕組みがあり、多数回該当と呼ぶ。 

例えば70歳未満で年収が約370万円未満だと、月5万7600円の限度額がある。4回目以降は上限が4万4400円に下がる。ほかの所得層の限度額は原則据え置いた上で、住民税を課税される人で年収200万円未満の層は限度額を下げる。 

1〜3カ月目までの上限額は2段階で見直す。現在は主に5つの所得区分によって限度額が異なる。まず1人あたりの医療費の伸びなどをふまえ、一律で引き上げる。その後に住民税非課税の人を除き、それぞれを3つに細分化し、将来は計13の区分に変える。 

こう見ると日本の社会保障は手厚いんだな、という感じがしますけどね」(寺島アナ) 

いや、ただね“医療費を抑えよう”という財務省的な緊縮財政主義。これが医療費を舞台にして、最近は日本維新の会なんかも参戦してきて、少し政治色が強くなりすぎると思います。GDPの伸び率と医療費の伸び率の比率で見ると、今と10~20年先はそんなに大きく変わらないんです」(田中氏) 

変わらないんだ」(寺島アナ) 

それもGDP比率じゃなくて、医療費の伸びだけを焦点に置いて改革を唱える人が多くて、これは明らかに政治的な思惑があると思わざるを得ませんね(田中氏) 

 

〈出典〉 

高額療養費、年収200万円未満は負担軽く 年4回目以降の多数回該当 | 日本経済新聞https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA152N70V11C25A2000000/ 

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