「出でよ!エース!」順天堂大学【102回箱根駅伝】
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1秒に歓喜し、7秒に泣いた。
前回大会の順天堂大学は、まさにジェットコースターのような箱根駅伝を経験した。
予選会では史上最少差の1秒で東京農業大学に勝ち本大会出場を獲得した。
しかし本大会では、9区終了時点で10位とシード圏内でレースを進めるも、最終10区で2年生の古川達也選手が、東京国際 東洋 帝京の歴史的デッドヒートシード権争いに巻き込まれ、大手町フィニッシュ目前で帝京に先着を許しシード権を逃した。10位帝京との差はわずかに7秒だった。
私は当日大手町のフィニッシュ実況担当だったから、この様子を現場で見ていたが、シードを逃した順天堂よりむしろシードを獲得したチームの方が涙を流していた印象がある。
茫然自失という感情は選手から涙をも奪うのか。
目の前でシード権を逃した古川は、「レース直後は実感がなかったのですが、チームメートと合流して皆から励まされる中で大きなことをしてしまったんだと感じました」
戦った他チームの10区の選手が涙を流しているのをみて「皆同じものを背負っていたんだ」と感じたという。「これを踏まえて人一倍練習してきたと思っている。これを自信にしてしっかり戦いたいと思う」と話す。
12月12日に行われた記者会見で長門俊介監督は、エースの出現を切望すると強調した。
「終わってみれば、あの選手がエースとしての働きをしてくれたなと思うような箱根駅伝ができなければ上位には行けない」
それを聞いていた選手たちは口々に「自分がエースに」と会見場で名乗りを上げる。
その一人。吉岡大翔。前回7区で区間2位の3年生が3大会連続の本大会出場でエースの座を狙う。5000mの高校記録保持者も大学では成績が安定せず悩んだ時期が長かった。「いい状態で走れていた時とのギャップがどうしても強くあって、走ることが嫌になった時期がありました。レース出てもまたどうせ離れちゃうというか、結果出ないのに出る意味って何なんだろうとか練習しても結果が繋がらないのになんで俺は今走ってるんだろうなとかそういうふうに思う日々もあったんです」というが、今井正人コーチとの出会いで少しずつ考え方が変わってきたという。
「今井さんはレースで絶対に×をつけない。あまり状況が良くない中でも走り切ったんだから×じゃない。でもあそこで先頭から離されてしまったのは△かな。であればこの△をどうやったら〇にできるのかを考えようという話をしてもらって、それに僕がレースでうまく走れなかったことを自分のように悔しがってくれて、そんなに長い間かかわってくれているわけでもない僕に対してもそういう風に思ってくれる人が身近にいるのに、自分がここで終わるわけにはいかないと思えるきっかけを今井さんがくれました」 12月29日の区間エントリーで吉岡は花の2区に名前が入った。
初代「山の神」今井正人コーチから「エース哲学」を伝授された吉岡が今年の箱根でエースになれば、チームの目標「5位以内」が現実味を帯びる。
芦ノ湖&大手町 スタート&フィニッシュ実況担当 長谷川太
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Information
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『文化放送新春スポーツスペシャル 第102回東京箱根間往復大学駅伝競走実況中継』
1月2日(金)・3日(土) 7:30~14:30 *全国33局ネット(放送時間は異なる場合があります)
▼1月2日(金) 往路
ゲスト解説:山本歩夢(國學院大學OB、旭化成陸上部)
ゲスト解説:吉田響(創価大学OB、プロランナー、サンベルクス陸上部)
移動解説:柏原竜二(東洋大学OB、「2代目・山の神」、『箱根駅伝への道』ナビゲーター)
総合実況: 斉藤一美アナウンサー
▼1月3日(土) 復路
ゲスト解説:田中悠登(青山学院大学前キャプテン、FBC福井放送アナウンサー)
ゲスト解説:篠原倖太朗(駒澤大学前キャプテン、富士通陸上競技部)
移動解説:柏原竜二(東洋大学、二代目山の神、『箱根駅伝への道』ナビゲーター)
総合実況: 寺島啓太アナウンサー
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この記事の番組情報
文化放送新春スポーツスペシャル 第102回東京箱根間往復大学駅伝競走実況中継
2026年1月2日(金)・3日(土) 7時30分~14時30分
3連覇を狙う青山学院大学、全日本の勢いそのままに“二冠”へ挑む駒澤大学、歴代最強クラスで初優勝に挑む國學院大學、30年ぶりの王座奪還を期す中央大学、そして在感…