【第102回箱根駅伝】中央大学・藤原正和監督〜復路終了後インタビュー〜
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――青山学院大との差について、いま一番感じている課題は?
「青山学院大は『噛み合った時だけ強い』というより、全員が高いレベルの練習を定期的に積めているからこそ、あのような形で一気に抜け出せるんだと思います。そこが僕らのウィークポイントであることは間違いありません。年間を通して、そういう取り組みができていない。だからこそ、その弱みをなくしていく段階に入っていきたいと思っています」
――山上りの適性というのは、監督という立場から見てどう考えますか?
「確かに“足首が柔らかい”“前傾でベタッと入れる”などといった定義はあると思います。でも、それが当てはまれば必ず当てはまるかというとそうでもない。今回の柴田(大地、3年)がうまくいったかというと、また別の話です。 結局は年間を通してしっかり練習を積めているかどうかが一番大事だと思っています。柴田は冬場に2カ月ほど練習を抜けてしまっていた。 青山学院大の原監督は、レベルの高い選手達に出会い、チームを作り、データを取って現場に落とすというサイクルを作っている。そこに積み重ねの差があるのかなと感じています」
――指導者同士の“世代間の争い”について
「(駒澤大総監督の)大八木さんから、『俺は澤木(啓祐、前・順天堂大監督)さんを倒したんだから、お前たちの世代が頑張って原を倒さないといけないんだよ』と言われました。そういう争いの中からまた新しいものが生まれていくと思います。もっと原さんから学びながら、自分自身も成長して、チームをビルドアップさせていきたいです」
――青学大の復路の配置の巧みさについてどう感じていますか?
「選手層の差。MARCH対抗戦などのチーム力の上がり方が毎年驚異的です。そこのすごさを今年は特に感じました。出雲・全日本で負けても慌てずに箱根駅伝に合わせてくる。 原監督は、箱根駅伝までの1年間の作りにすごく自信を持っていらっしゃる。一朝一夕では追いつけないとは思いますが、僕らなりにトライアンドエラーを繰り返していくしかないですね」
――夏以降、“箱根を見据えた新しいやり方”をしてきた手応えはありましたか?
「成果は非常にあると思っています。総合タイムも10時間44分台まで来られているので。もし力のある本来のメンバーが揃っていれば、表彰台に乗れていたと思います。 全体のベースが上がっているのは間違いありません。これを2年、3年と続けていけば、学生たちの体も変わっていくと思っています。その先で何が必要かをまた考えていきたいですね」
――今回の区間配置を自己採点するとしたら
「結果が出ていないので50点ですかね。もちろん配置した選手たちは一生懸命やってくれました。その選手達を区間に応じて効果的に機能させられたかというと、もっと最適解があったんじゃないかと感じています」
――吉居(駿恭、4年)選手を9区に置こうと決めたのはいつ頃だったのか
「かなり遅くて、1週間前くらいでした。藤田(大智、3年)を1区に、七枝(直、2年)を7区に回すなど、玉突きで決める感じでした。(吉居には)できるだけ負担の少ない区間で伸び伸び走らせたいという意図でした。エースとしての仕事をさせてあげたかったのが本音です。彼自身も足の状態を気にする期間があったこともあり、良い意味での緊張感を高めていくことができなかったのかもしれません。夏の時点では、岡田(開成、2年)を2区、吉居を4区、そして溜池(一太、4年 往路は2区で出走)を5区に持ってきて、という構想も考えたことがあります。ただ結局、うちの選手たちに“山の覚悟”を持たせられなかったことが、一番の敗因だったかなと思います」
――故障がなければ吉居選手を別の区間も想定していたか?
「もちろんありました。本人はずっと“1区”と言っていましたし、彼を置くことで他大学も牽制できる。そういう意味でも1区に置きたかった部分はありました」
――レース前、『終盤に勝負したい』というようなコメントもあったが
「できれば8区・9区あたりで先頭に追いつきたかった。できれば5区の柴田に71分台でいってもらえれば、ほぼ青山学院大と同じ形で往路を終えられたので、その展開が理想でした。5区が全てだったかなと思います」
――6区から8区の流れについて
「6区の並川(颯太、2年)は上りが苦手なので、そこは“目をつぶる”という話をしていました。でも下りはおそらく誰よりも良いタイムで走ってくれたと思いますし、力通りの走りをしてくれたと思います。7区の七枝(直、2年)は当落線上の選手だったので、入りたい気持ちが強すぎて、練習で少し出しすぎてしまった部分があった。ここは来年以降改善したいですね。8区の佐藤(大介、2年)は昨年の失敗があった分、しっかり頑張ってくれました。ただ、最後の3kmで結構やられてしまった。彼には『向いていない区間』ということも、ある意味はっきりしたのかなと。収穫も課題もあった区間でした」
――5区の重要性について
「やっぱり山が大事。今回、本当に青山学院大の黒田(朝日、4年)君にすべてやられたなという感覚があります。うちが持っていた主導権をそこで持っていかれて、復路も後手に回った。下りはある程度結果が出た分、やっぱり“上り”で差がついてしまった。その現実を突きつけられました。(青山学院大の黒田選手が)12月の頭くらいで『68分くらいでいける』という情報は伝わってきていました。ただ、そこからガチャガチャ動かすよりは正攻法でいこうということで、オーダーはいじりませんでした」
――当初10区で出走予定だった濱口(大和、1年)選手の当日エントリー変更について
「身体は特に問題はありませんでした。ただ直前の練習タイム設定でうまく行かなかった。1年生で、かつ優勝するために前のチームを追いかけることも可能性としてありました。そのような中で23kmを失敗できない、という戦略があり当日エントリー変更を行いました」
――過去のインタビューで話していた“優勝までの距離感”は今年のレース踏まえどう感じたか
「今年は距離感が分かっていた分、チャレンジして見事に跳ね返された形。 でも、これを何回も続けていくしかない。前回は『距離感』そのものがわからず、ただもがいただけでした。それを考えると前進していると思います。跳ね返された分だけ、得るものもある。次こそは跳ね返されないように頑張りたいです」
――今年のチームは『数字+力強さ』の両方を持っている印象だったが、それでも足りなかったものは?
「ずばり『箱根の勝ち方』を知っているかどうか。箱根駅伝を勝つという覚悟がまだまだ足りなかったです。レース前の想定では、10時間39分50秒くらいでは行けるぞ、という話を選手たちにしていました。でも実際には青山学院大に2分も上回られてしまった。スピードを活かしつつ、山への対策や年間を通しての練習スケジューリングをもう一度抜本的に見直さないといけない。シードに定着したことは良いことですが、我々に求められているのは優勝なので。早稲田大とうちが最後ここで競ってる場合じゃないよねと花田監督とも話した。もっと上を見て、もう一段、二段レベルを上げていかないといけないと思っています」
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Information
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『文化放送新春スポーツスペシャル 第102回東京箱根間往復大学駅伝競走実況中継』
1月2日(金)・3日(土) 7:30~14:30 *全国33局ネット(放送時間は異なる場合があります)
▼1月2日(金) 往路
ゲスト解説:山本歩夢(國學院大學OB、旭化成陸上部)
ゲスト解説:吉田響(創価大学OB、プロランナー、サンベルクス陸上部)
移動解説:柏原竜二(東洋大学OB、「2代目・山の神」、『箱根駅伝への道』ナビゲーター)
総合実況: 斉藤一美アナウンサー
▼1月3日(土) 復路
ゲスト解説:田中悠登(青山学院大学前キャプテン、FBC福井放送アナウンサー)
ゲスト解説:篠原倖太朗(駒澤大学前キャプテン、富士通陸上競技部)
移動解説:柏原竜二(東洋大学、二代目山の神、『箱根駅伝への道』ナビゲーター)
総合実況: 寺島啓太アナウンサー
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この記事の番組情報
文化放送新春スポーツスペシャル 第102回東京箱根間往復大学駅伝競走実況中継
2026年1月2日(金)・3日(土) 7時30分~14時30分
3連覇を狙う青山学院大学、全日本の勢いそのままに“二冠”へ挑む駒澤大学、歴代最強クラスで初優勝に挑む國學院大學、30年ぶりの王座奪還を期す中央大学、そして在感…