【第102回箱根駅伝】青山学院大学・原晋監督〜復路終了後インタビュー〜

【第102回箱根駅伝】青山学院大学・原晋監督〜復路終了後インタビュー〜

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――史上初、2度目の3連覇という快挙
「正直、僕は数字遊びがあまり好きじゃない。2連覇、3連覇とか、9度目とか、そういうのを意識しません。学生に『偉業を達成するぞ』なんてほぼ言っていないです。ただ、結果として積み重なってきた実感はありますし、12年で9度となると『すごいことをやったな』とは思います。箱根駅伝は学生スポーツなので毎年チームが変わります。だからこそ、毎年“新しいチームで新しいことをやる”という連続の中で、こうして成果が生まれているのだと思います」
――今日のレース、どのタイミングで優勝を確信しましたか。
「9区に襷を渡した時ですね。あそこで『これならようやく勝てるだろうな』と思いました」
――近年の高速化については、どんな要因が大きいと考えていますか。
「駅伝は外的要因の影響が大きい競技です。風向き、天気、気温、湿度。水泳みたいに常に同じ条件で戦えるわけではない。ただ、ここ数年はそうした外的条件が非常に良い中で行われているというのがまずあります。それに加えて、靴の進化ですね。各社の開発力は本当に素晴らしい。そして大学の指導者が熱心です。人生をかけて覚悟を持って取り組んでいることが学生にも伝わって、いい効果が生まれているんじゃないでしょうか」
――年度初めに「優勝確率0%」と発言されていました。その真意は? 
「事実です。あの時点では力がなかった。他大学の戦力を見た時に、今年は國學院が勝つ流れだろうな、駒澤が勝つ順番だろうな、と僕は思っていました。駒澤の4年生を中心とする選手層と比べたら、うちは分がない。中央大学も良い選手が揃っている中で、うちは分がない。だから“0%”は鼓舞じゃなくて、まず事実を伝えたということです。そこに、おべんちゃらは使いません」
――成長度が一番だった?
「そこから成長するところが学生指導の面白さです。正しい技術を指導すれば伸びる。僕は“心技体”じゃなくて“技体心(ぎたいしん)”と言っています」
――山上り・山下りの強化について?
「山は、フィジカルや動き作りで伸ばせる部分もありますけど、せいぜい10のうち0.5くらい。適性が7割、場合によっては8割9割が適性です。ただ、その適性に“普通のトレーニング”と“体調管理”がちゃんと乗っていないと意味がない。上り用、下り用の特別な練習をたくさんやるというより、適性と日常の積み重ね、加えて、ほんの少し山対策、という感覚です」
――6区の石川浩輝選手(1年)の起用は、適性を見極めた?
「高校時代、全国高校駅伝のアンカー区間で区間賞を獲っていた。あの区間は前半に下りがあるんですよ。そのテレビ映像の動きを見た時に『この子、下り行けるな』と思いました。足の回転が速い。夏合宿で山下りの走りを見て確信しました」
――もっともクリエイティブな区間配置だったのでは?
「そうですね、“さすがだな”って自分で思います(笑)。中国電力時代に料金計算を担当していたので、数字に強いんですよ。統計学の考え方です。その子の能力の絶対値、最高値がある。でもそれが毎回100出るとは限らない。何割の確率でそのパフォーマンスが出せるかを分析していく力が監督には求められると思っています」
――4年生の存在について
「私は4年生が頑張らないといけないと言い続けている。それに応えてくれる学生にも感謝しています。それを言わない指導者もいるんだけど、僕は最後の最後に4年生が背負ってくれると思っている。走るのが一番いいけど、走れなかったらマネージャーでもいい。そして、練習だけやっても伸びない。規則正しい生活が必要。寮生活をよりよくするために4年生は頑張る。下級生の面倒を見る。昔のように4年生が下級生を従えることは許しません。選手たちは門限に遅れるようなことはなくて、ちゃんと9時までには帰ります。それは寮が楽しいからです。先輩ともゲームをやって遊んでいる。楽しい所には帰る。そういう、壁がない場所をつくったのが指導者としての勝因です」
――12月以降は、あえて選手と距離を取るとうかがいました。
「12月になったら情が入るとダメなんです。情が一番の敵ですから。平等に選手選考するために、寮には入り込みすぎないようにしています。奥さんやキャプテン、寮長からの情報を聞いて、食堂の雰囲気を遠目に見る。会話もあまりしない。空気感だけを見るようにしています」
――故障者が少なかった要因は?
「これはぜひ大きくPRしてほしいです。今年度から鶴貝(彪雅)栄養コーチが入ったんです。うちの卒業生で、元マネージャーの子です。寮の食事を手作りで作ってくれている。奥さんと鶴貝コーチ、パートの方と一緒に料理を朝晩作っている。そういう改革も、故障や体調不良が少なかった要因だと思います。結果として大きな故障が1年間ずっとなくて、40名中3〜4名程度。故障率は1割未満です。スポンサー企業のサポートもあって、体調管理がより進化していると感じます」
――最後に、次の世代へ向けての展望を聞かせてください。
「他大学も本気になってきました。10時間36分で走っても、最後のチームでも11時間前後。10年前なら優勝争いでもおかしくないタイムです。1番になるかどうかは、ある意味“時の運”もあります。でも、私たちの正しいメソッドがあれば人材は成長する。良い選手と巡り会った時には、必ず優勝争いができる。そういう組織づくりをこれからも続けていきたいです」
――トークバトルで駅伝をゴルフに例えていましたが
「5区の黒田はアルバトロスです。1区でボギーが一個ありましたが、朝一番ではボギーを叩くものです。復路なんかみんなパー以上。今回は素晴らしい展開でした」

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2026年1月2日(金)・3日(土) 7時30分~14時30分

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