トランプ米大統領の発言にNATO各国が怒りの声。背景に何があるのか
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、1月28日の放送に毎日新聞論説委員でノンフィクション作家の小倉孝保が出演した。トランプ米大統領の言動に対し、NATO(北大西洋条約機構)各国が怒りをあらわにしている件について解説した。
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「トランプ米大統領の発言で、いま特に問題化しているのがNATOについて。アフガニスタンでの戦争で『アメリカ以外の国も部隊を派遣したが、前線から離れていた。アメリカだけが戦ったんだ』と。これに対してNATOの加盟国、各国の退役軍人、その家族らが、トランプさんの想像を超えるだろう怒りの声を上げています」
長野智子「どうなっているんですか、これ」
小倉孝保「イギリスもカナダも、かなりの激戦地に行っているんですよ。調べるとアメリカ兵の死者が2460人前後、イギリスが457人、カナダが150人以上、デンマークが44人……。アメリカ兵で亡くなった人が多いけど、人口比だとアメリカ、イギリスはそう変わらない。デンマークは600万人の人口で44人だから、圧倒的になるんですよ」
長野「そもそもトランプさんはなぜこんなことを言ったんですか?」
小倉「NATO軽視。大きいのはグリーンランドの問題だと思います。ウクライナ情勢がなかなか動かない。ヨーロッパの国々が充分に貢献しない、という不満がある。NATOに対する拠出も少ない。グリーンランドを領有する、という話をしたとき、NATOのヨーロッパ各国が、グリーンランドに部隊を送って、トレーニングなどしますよ、という話をしたことに対し、トランプさんは急に怒り出した」
長野「はい」
小倉「その国々に、関税を貸すぞ、と脅した。あのときノルウェーもメンバーのひとつだった。ノルウェーの首相が明らかにしたことで、『おまえのところが俺にノーベル平和賞をくれなかった。平和を遂行する義務を感じないんだよ』と言ってきた、と。首相が言うんですよ。そもそもノーベル平和賞ってノルウェー政府が出すものではない。もらえなかったから義務を感じない、超大国のリーダーとしておかしくないですか」
長野「こんなとんでもないニュースが日々、流れてくる。私たちがどれだけ異常な世界にいるか、ということですよ」
小倉「今回の件、ヨーロッパの友達に聞くと、怒りに震えていますよ。トランプさん自身はベトナム戦争にも行っていない。彼の息子たちも。イギリス人は前線に出て500人近くが亡くなっている。その家族もいる。血の犠牲を払ったうえ、一緒に戦っていたはずの国のリーダーが『あいつらは厳しいところに行っていない』と言う。イギリス人の怒りに共感します。スターマー首相が『それは侮辱的だ』と言ったのもわかる。イギリスとアメリカの関係を重視して、こういうことを言わなければ、国内でひっくり返されますよ」
長野「トランプ政権は1期目以上にNATO批判を繰り返し始めました。何か背景は?」
小倉「1期目からNATOに対しては不満を持っていて。もっとお金を出せ、なぜアメリカだけが出すんだ、と。それにプラスしてウクライナの問題が出てきました。なぜアメリカがこんなにやらないといけないんだ。おまえたちもできるはずだ、ヨーロッパの問題なんだろう、というのがアメリカとしてある。さらにグリーンランドの問題なんです」
長野「ああ……」
小倉「ヨーロッパの人たちからすれば『グリーンランドはデンマーク領でしょう』と。もうアメリカ軍基地もあるんですよ。中国やロシアにあの辺を奪われるんじゃないか、と。でも中国はほとんどグリーンランド周辺に行っていないらしくて。まず事実の認定もおかしいし、国際法的にありえないことをアメリカが言っている。デンマークは同盟国、NATOの加盟国ですよ。そこに対して『あそこの土地は俺のものだよ』。引っ込めましたけど一時は『武力を使うかもしれない』とほのめかした。ヨーロッパとしてはひっくり返りますよ」
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