子どもの性被害ホントに防げる?12月開始の「日本版DBS」について武田砂鉄が聞く
フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝のラジオ番組、『武田砂鉄ラジオマガジン』。2月9日は、弁護士の三輪記子氏が“日本版DBS”の問題点について解説した。
三輪「今日のテーマは『日本版DBSって知っていますか?』です。DBSってなんの略かご存知ですか?」
武田「どういうものかわかっていますけど、何の略かと言われると分かりませんね」
三輪「これは、Disclosure and Barring Serviceの頭文字を取ってDBSなんですね。Disclosureっていうのが、前歴開示。Barringっていうのが、取り除く。そしてServiceは、制度ですね。前歴を開示して、その前歴に問題がある人を排除する仕組みがDBSです。“日本版DBS”っていうのは、今年の12月25日に施行されるんですけれども、まずは本家本元というかイギリスの制度についてご紹介したいと思います。こども家庭庁のホームページに『イギリス・ドイツ・フランスにおける犯罪歴照会制度に関する資料』があります。これを全部取り上げると時間がなくなってしまうので、イギリスだけしっかりやります。イギリスは1986年に公的機関に採用される者の犯罪歴チェックの制度が確立された、とのことです。今からもう40年前ですね。この制度が今どうなっているかと言うと、イギリスでは基本的に職種に関わらず、使用者――会社が従業員の犯歴照会を求めることができることになっているんですね。しかも、子どもに関わる職業または活動――職業または活動となっているのはボランティアも含まれるんですね。――子どもに関わる会社あるいは事業者が、子どもに対する性的虐待等の犯罪歴がある者を使うこと自体がもう犯罪なんですね」
武田「うーん」
三輪「チェックするシステムがあるのに、それを怠ったりとかして、そういう人を雇ってしまうこと自体が、もう犯罪とされています。この前歴開示については、前歴者就業制限機構という第三者機関のようなものが行うんです。他にも、子どもや脆弱な大人に接する仕事に就けない者のリストを作成しています。この機関の位置づけは、議会に対して直接説明責任を負うけれども省には属さない公的機関です。つまり独立した第三者機関に対して照会を求めるのがイギリスの制度です。なぜイギリスの制度について説明するかというと、日本はこうはなっていないからなんですね。今の話を聞いて頂いたら、イギリスの制度、よさそうじゃんって思う方が多いと思うんですけれども」
武田「そうですね」
三輪「これが“日本版DBS”と言われる所以なんですね。本家のDBSとは違うということで、“日本版DBS”と報道されているんですね。この“日本版DBS”はどういう制度かと言いますと…どこから説明しようかな…まずは対象。この制度を使用しなきゃいけないのは学校、公立私立を問いません。あと認可保育所とか、認定こども園、児童福祉施設などは使用が義務付けられている対象です。一方、国の認定を受けた上でDBSを使う、となっているのが、認可外保育施設、そして放課後児童クラブ、あるいは学習塾、スポーツクラブ、こういうところも子どもってたくさん出入りしますよね。むしろ子どものための施設だったりするわけですけれども、こういったところは義務じゃありません。義務じゃないので、この“日本版DBS”の制度を使わなくても、すぐに問題にされることはないんですね。逆に言うと施行後に、例えば「こちらは認定しているスポーツクラブです」というと少しは親にとって安心材料になるのかもしれないですよね」
武田「はい」
三輪「制度の対象についても、ありとあらゆる子どもに関わるところが対象になってるわけではない。ここも一つの問題点ではあります。これは『こども性暴力防止法』という法律に基づくものなんですけれども、性犯罪の前科があると性暴力の恐れがあるとの判断のもとに、子どもに接する業務に就くことができなくなります。これを聞くと、安心だなと思われる方がいるかもしれないんですけれども、対象となる性犯罪は不同意性交、不同意わいせつ、盗撮、児童買春、児童ポルノ所持などは含まれるんですけれども、例えば下着の窃盗、これは窃盗罪ですので入りません」
武田「下着の窃盗は入らない?含まれない?」
三輪「あとは、体液をかけるとか。これは暴行になったり器物損壊罪になったりするんですけれども、こういうちょっと「性犯罪じゃないの?」と思われるようなものも含まれません。かつこれは、児童に関するものだけではなく成人に対する性犯罪を含みます。そこは区別がありません。こういうふうに、対象となる性犯罪についても果たして十分だろうかという問題があります。さらに…」
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